2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12F02806
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 典子 (河野 典子) 日本大学, 理工学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LALITY-KOVACS Tunde 日本大学, 大学院理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ディオファントス方程式 / 指数型ディオファントス方程式 / ディオファントス近似 / 整数点 / p進対数一次形式 / 楕円曲線 / S整数点 / 階数 |
Research Abstract |
今年度は有理数体上の楕円曲線のS整数点の決定のための新しいアルゴリズムの構築を行った. S整数点とは, 楕円曲線のアフィン座標表示において, 整数および特定の素数から成る分母を許す有理数を座標に持つ点のことである. SiegelやMahlerらの先行研究により, 有理数体上の楕円曲線のS整数点は有限個に限ることが知られている. 今回のアルゴリズムは, p進楕円対数の一次形式の下からの評価を応用した初めての数学的な結果とその応用である. 楕円曲線の有理数体上のMordell-Weil群の階数の大きい場合は一般的には計算が困難になるが, 階数が高いケースの楕円曲線の整数点の例をこのアルゴリズムを用いて提示した. Sに比較的大きな素数を含んでいる場合であっても計算が容易であるという特徴を持つ. 先行研究には類似の計算例はなく, pに依存する部分が優れているアルゴリズムであるという長所がある. 用いた楕円曲線の式としてはまずy^2=x^3-203472x+18487440を考えた. これは有理数係数の階数5の楕円曲線であり, Sを101,103,107, およびアルキメデス附値∞から成る素点の集合とするときの全てのS整数点をMagmaを用いてプログラムを組んで計算した. このために12コアの能力を持つ計算機をKovacs氏が約4週間続いて走らせた. バグ取りを昼夜にわたり行い, 軌道修正をしながら獲得した計算結果である. 引き続き別の楕円曲線についての例も計算し, 京都大学などの研究集会で発表をおこなった. 聴衆からの評価も高かったようである. この結果は研究代表者との共著の学術論文として仕上げて投稿済みである. またこれを用いた暗号理論への応用も考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者のLALITY-KOVÁCS氏と研究代表者とは, すでに相当の知識の共有がなされていていたという理由により, 本研究課題の共同研究はおおむね予定通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者のLALITY-KOVÁCS氏がさらに暗号理論への応用を考察することによって, 今後の研究推進が期待できると考えられる. 研究遂行上の問題点は見当たらない.
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Research Products
(5 results)