2013 Fiscal Year Annual Research Report
高性能熱電素子を実現するための組成傾斜を利用したホイスラー材料に関する研究
Project/Area Number |
12F02817
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
西野 洋一 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RENARD Krystel 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ホイスラー化合物 / 熱電発電 / 熱電変換材料 / ゼーベック効果 / 非化学量論組成 / 機械的強度 / 発電効率 |
Research Abstract |
自動車からの廃熱を利用して熱電発電を行う上で、熱電材料によって最高性能を発揮できる温度領域が限られるという問題がある。そこで、新たな熱電発電のブレークスルーを実現するために、本研究ではFe_2VA1系ホイスラー化合物熱電材料を取り上げ、一つの素子に2種類以上のnおよびp型熱電材料を組み合わせたセグメント型熱電素子の開発を試みることで, 広範囲の温度領域で効率的な熱電発電性能を達成することを目的とする。 今年度は、まず、室温から500K程度において高い性能を持つp型およびn型の熱電材料の開発を行った。昨年度までの研究で得られていた知見を活かして、Taによる重元素置換およびVとA1の非化学量論効果を組み合わせたFe_2V_<1-x> Al_<1-x-y> Ta_y合金を作製して熱電特性を評価した。その結果、n型材料では室温から500K程度までZT>0.2、p型ではZT>0.14を達成し、従来よりも高い熱電性能を有する材料の開発に成功した。 また、セグメント型熱電素子作製のために、焼結体の作製条件の決定を行った。これまでに良好な熱電特性が得られているFe_2VTa_xAl_<1-x> 合金について焼結条件の影響を明らかにするために、45μm以下に粉砕したFe_2VTa_<0.05> Al_<0.95>試料を様々な焼結条件(950℃~1100℃、50 MPa)下で作製し、熱電特性の評価を行った。作製した試料は、焼結温度の低下とともに相対密度の減少が観測されたことから、結晶内部に細孔が導入されていると考えられる。相対密度の低下にともなって電気抵抗率は増加するが, 熱伝導率は大きく減少し、ゼーベック係数はほとんど変化しなかった。結果として、出力因子はかなり減少したが、無次元性能指数は増加しており、1050℃における焼結温度が最適条件であると決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、セグメント型熱電素子に用いるためのn型およびp型熱電材料の開発に成功するとともに、その焼結条件の決定に成功した。これらの結果を用いることにより、本研究の最終目標であるセグメント型熱電素子の作製は円滑に行うことができるため、来年度の早期に本研究の目標は実現できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度に決定した焼結条件を用いて、第2相としてナノサイズのZrO_2を導入した試料を作製することにより更なる熱電特性の向上を試みるとともに、本研究の最終目標であるセグメント型熱電素子の評価も開始する予定である。これまでに得られた成果については、随時、国際会議や国内会議で発表するとともに、論文としても公表する予定である。
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Research Products
(5 results)