2014 Fiscal Year Annual Research Report
野生チンパンジーの集団における離・散を内包した社会構造と社会的境界の生成プロセス
Project/Area Number |
12J00004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花村 俊吉 京都大学, 野生動物研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 野生チンパンジー / 集団 / 霊長類社会 / 社会観 / 人間と動物の関係 / 社会構造 / 社会的境界 / タンザニア |
Outline of Annual Research Achievements |
野生チンパンジーは、離合集散する複数の個体たちが集団を形成し、メスが集団間を移出入する。本研究の目的は、チンパンジーの離・散を内包した集団の生成機序や個体間の共存機構を移入メスの立場から分析し、ヒトを含めた他種霊長類の社会と比較・考察することである。本年度は、タンザニアのマハレM集団を対象に約一ヶ月間の野外調査をおこない、収集した記録を過去に蓄積してきた記録と合わせて分析した。先行研究では、移入して数年内の新入りメスは、採食場面で在住メスに攻撃され、その際にオスから援助を受けるため、移入メスにとってオスとの親和関係が重要であり、各メスは採食競合を回避してそれぞれ集中行動圏を形成するとされてきた。しかし、新入りメスは、在住メスよりオスに攻撃されており、在住メスから援助を受けることもあり、在住メスとの敵対的交渉の多くは採食以外の場面で生じていた。また、一部の新入りメスは、特定の在住メスを追随することがあり、そのメスの集中行動圏と重複するように自分の集中行動圏を形成していく可能性が示唆された。さらに、新入りメスは、他集団個体の声を聴いたとき、緊張や警戒を示す在住個体とは異なるふるまいを示すことがある一方、そうした在住個体との相互行為を介して次第に在住個体と同じようなふるまいを示すようになることが示唆された。移入メスの在住個体との共存にはメスとの社会関係も重要であり、移入メスはさまざまな在住個体との相互行為を通じて集団を再生産していくと考えられる。これらの成果の一部は、国内学会等で発表し、英文共著論文集の一章で触れた。離合集散やそれと病気の流行との関連等についてもそれぞれ英文共著論文集の一章としてまとめた。そのほか、フィールドでの観察者と対象動物との相互行為や、人間が霊長類の社会構造や社会的境界を抽出する際にそこに投影する社会観について考察し、和文共著論文集の一章として出版した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)