2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中 伊津美 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オセアニア / SNP / ADRB2 / 肥満 |
Research Abstract |
オセアニア集団を対象に、β_2アドレナリン受容体遺伝子(ADRB2)多型と肥満との関連を検討し、ADRB2遺伝子上流領域に存在する単一塩基多型(SNP)rs34623097が肥満(BMI>27kg/m^2)と最も強い関連を示すことを見出した。先行研究では、ADRB2の27番目のアミノ酸置換を伴うSNPの27グルタミン酸アリル(27Glu)は、アジア集団において肥満リスクと関連するが、ヨーロッパ集団においては関連していないことが報告されている。今回、検出したSNPは、ヨーロッパ集団において観察されないこと、本研究により、アジア・オセアニア集団においてrs34623097-Aと27Gluとは正の連鎖不平衡にあることが確認されたことから、rs34623097が第一義的な肥満関連多型である可能性が強く示唆された。次に、当該SNPの機能的意義を解明し、肥満発症にADRB2遺伝子が果たす役割の理解を目指すことを目的とし、rs3462309-Aとrs3462309-Gの各アリルのコンストラクトを作製し、HEK293を利用したリポーター遺伝子アッセイを行った。rs34623097-AアリルがGアリルに比べて10%ほどADRB2の発現量を低下させることを見出した。電気泳動移動度シフトアッセイにより、rs34623097-Aアリル特異的に結合する転写抑制因子の存在が示唆され、rs34623097-AはADRB2の発現を抑制することで肥満リスクを高めていると結論した。さらに、分子進化的解析によって、現生人類のrs34623097-Aアリルは、ネアンデルタールから遺伝子移入した可能性があることを示した。本研究成果は、アジア・オセアニア集団でのみ観察される27Gluと肥満との関連に合理的な説明を与えるとともに、肥満者の肥満細胞で観察されるADRB2発現量の低下が、肥満の結果ではなく肥満の原因であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・2年次計画で行うSNPの機能解析が終了した ・成果を論文として発表した
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Strategy for Future Research Activity |
血清脂質値と多型との関連を検討し、オセアニア集団における肥満症や脂質異常症の遺伝因子について明らかにする
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Research Products
(6 results)