2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J00052
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福森 理加 広島大学, 生物圏科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グレリン / 乳生産 / 乳牛 / 中鎖脂肪酸 / GH / IGF-1 |
Research Abstract |
本研究は、「乳牛の栄養管理による乳生産の向上」を課題とし、消化管ホルモンであるグレリンに着目し、栄養素摂取によるグレリン分泌の増加が増乳ホルモンであるGH、IGF-1や栄養代謝ホルモンであるインスリン、グルカゴンなどの分泌を介して乳生産を高めることが可能であるかについて検討することを目的としている。本年度は、グレリン分泌を高める栄養素として中鎖脂肪酸を使用し、中鎖脂肪酸の摂取が血漿グレリン濃度および乳生産に及ぼす影響について検討し、以下の成果を得た。 1.乳牛への中鎖脂肪酸の給与は、血漿グレリン濃度を増加させる。 2.中鎖脂肪酸の摂取によって、血漿GH濃度には影響がみられず、血漿IGF-1濃度は減少した。 3.中鎖脂肪酸によって、乾物摂取量が減少し、乳量が減少する傾向がみられたが、摂取エネルギーに対する乳生産効率は高まる傾向がみられた。 4.中鎖脂肪酸の摂取によって、血漿NEFA、T-CHO濃度の増加、血漿インスリン濃度の減少などがみられ、栄養代謝が変化していることが示唆された。 以上から、中鎖脂肪酸の摂取は、グレリン分泌を高める栄養素として有効であるが、乳生産に及ぼす影響については、摂取量の違いから明確にならなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、グレリンの分泌を高める栄養素を用いた泌乳試験を実施することを計画していたが、おおむね目的としていた実験を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、グレリン分泌を高める栄養素として中鎖脂肪酸を用いた乳牛の泌乳試験を実施した。結果、中鎖脂肪酸によって乾物摂取量が減少したため、乳生産への影響は明確にならなかった。そこで、次年度は、中鎖脂肪酸摂取区と同等の摂取量の対照区(Pair-fed)を設け、泌乳試験を実施することを計画しており、これによって中鎖脂肪酸が乳生産に及ぼす影響を明確に示すことができると考えている。さらに、次年度は使用する中鎖脂肪酸を改良し、グレリン分泌を高める効果の高いオクタン酸を多く含むものを給与することを計画している。
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Research Products
(5 results)