2013 Fiscal Year Annual Research Report
一般相対論を用いた多体系ダイナミクスの理論的解明-新たな重力理論を目指して-
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12J00108
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山田 慧生 弘前大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DCl)
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Keywords | 一般相対論 / 修正重力理論 / 天体力学 / 量子干渉効果 |
Research Abstract |
本年度は一般相対論, および修正重力理論における多体系ダイナミクスの理解の端緒として, 主に次の研究を行った. 1. 量子干渉実験を用いたNon-dynamical Chern-Simons重力理論の検証法を提案した研究[H. Okawara, K. Yamada & H. Asada, Phys. Rev. Lett. 109, 231101 (2012)]を発展させ, Non-dynamical Chern-Simons重力理論による二体系ダイナミクスの量子干渉効果への影響を調べた. 特に, 地上干渉計における一般相対論では予言されない新たな量子干渉効果について, 干渉計の設置緯度による効果を調べ, 様々な緯度における干渉効果の時間変動を得た[H. Okawara, K. Yamada, & H. Asada, Phys. Rev. D87, 084038 (2013)]. 2. 一方の天体が観測されないような二体系, すなわち, 位置天文的連星の観測データから, この系 の軌道要素を決定する統計的な解析法の改良を試みた。その結果, 決定精度の向上した改良された統計的な解析法を得た. この結果は現在学術誌に投稿準備中である. 1は大河原広樹氏と浅田秀樹氏, 2は浅田秀樹氏, 山口正輝氏および郷田直輝氏との共同研究である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究1は一般相対論を超える重力理論の一つであるChern-Simons重力理論における天体ダイナミクスが地上での量子干渉効果にどのような影響を与えるのかを調べたもので, これによって理論検証への応用が期待できる. また, 高精度位置天文観測機Gaiaは2013年に打ち上げられ, 2014年の運用を目指し準備中である. また, 日本のJASMINEの実証実験も直近に迫り, 観測データの理解に必要である多体系ダイナミクスの理論的研究は急務である, 本年度の研究2はこれに応えるための足掛かりとなるものである.
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Strategy for Future Research Activity |
近年, 世界中で重力波の直接検出計画が盛んである. また, 二体系の周りに第三体が運動するような階層的三体系においては, 第三体の運動による多体相互作用が内側の二体系ダイナミクスやその系から放出される重力波に大きな影響を与えることが数値的にわかっている. このような階層的三体系は最近の観測から実際に発見されており, その多体相互作用の理解は急務である. これを受けて, 以下の研究に取り組む. 一般相対論的な多体相互作用の理解の一助となるために, 階層的三体系での第三体の運動による内側の二体系ダイナミクスへの影響を一般相対論の枠組みにおいて解析的に調べる. さらに, そのような三体系から放出される重力波についても解析的に調べる.
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Research Products
(8 results)