2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロバブルが有する高感度流れ制御機能の発現トリガー解明
Project/Area Number |
12J00184
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡村 友昭 北海道大学, 大学院・工学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 流体力学 / 混相流 / マイクロバブル / 抵抗低減 / PIV / UVP / LIF / CFD |
Research Abstract |
液体の壁面摩擦抵抗を劇的に低減させることが可能な"気泡抵抗低減技術"は有用な省エネ技術として注目され,その商業利用が既に開始されている.中でも,直径10umオーダの気泡"マイクロバブル"の使用により高い抵抗低減効果を得られることが多数報告されていることから,マイクロバブルの積極的利用が注目されているものの物理的理解に到達出来ていない.この現象を支配する流体力学的メカニズムを解明し実用化への効率化を図るため,流れ場とマイクロバブルの運動との相互干渉,ならびに抵抗低減との因果関係について実験的基礎研究を通して調査を行い以下の成果を得た. 【マクロバブルを含む流れの計測技術開発】 気泡流の時空間流動場計測を実現するため,混相流用多次元光計測手法を独自に開発した.この計測法は粒子の色情報を使用し,一台のカメラで最大25種類の粒子を同時認識することが可能になる.気液二相流の同時計測以外にも,三次元流動場計測手法として実用化済みである. 【マイクロバブルの混入による流動構造の変化と抵抗低減効果】 同軸回転二重円筒間に形成されるテイラー・クエット流れを用い,振動渦とマイクロバブルの干渉を実験調査した.マクロバブルが渦構造中で選択的に分布し,運動することにより,流動モードの遷移が遅延することが分かった.同時に周方向速度の半径方向勾配が減少し,約10%の抵抗低減効果が得られた. 【ハイブリッド解析による抵抗低減メカニズムの解明】 実験と数値計算を融合した解析手法"ハイブリッドシミュレーション"を三次元用として新規に開発し,流動構造の変化と抵抗低減効果の因果関係を調査した.気泡の添加による副次的な流動要素の変化をシミュレートし,時空間4次元の速度分布と気泡混入によるその変形を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画に示した通り,計測手法の開発,ならびにテイラー・クエット流れの流動遷移に関する調査を概ね完了した.代表者が独自に開発した計測手法は査読付き学術論文2編に発表した.テイラー・クエット流れの遷移に関する知見は査読付き学術論文に投稿し,現在査読者との討論中である.また,次年度に行う予定である新たな実験系の準備,ならびに予備実験も鋭意遂行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り次年度は,時空間で発達する流れ場おけるマイクロバブル混入の影響を評価する.基礎的な体系を対象とし,水平混合層乱流を用いてせん断層に形成される渦構造の時空間発達,ならびに気泡がそれに与える影響を評価する.変更点:新たに京都工芸繊維大学,北川石英准教授と自由浮上気泡流の実験を共同で実施する予定である.自由浮上気泡流を用いて気泡の粗密分布構造,気泡が作り出す流れのスケールと,流れが気泡の運動に与える影響を調査する.これにより,気泡が好む流れのスケールの定量評価が可能となり,マイクロバブルと渦構造の双方向相互干渉を総括して理解可能になる.
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Research Products
(7 results)