2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ燃料生産に向けた新規マルチドメインセルラーゼによる繊維分解機構の解明
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12J00232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新開 純代 (金房 純代) 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 嫌気性高度好熱細菌 / セルラーゼ / マルチドメイン / 質量分析法 / バイオマス |
Research Abstract |
今年度は、嫌気性高度好熱細菌Caldicellulosiruptor besciiセルロース分解酵素系(CEC)の酵素作用の基礎的な解析結果をまとめた。 まず、炭素源としてセロビオースを用いて嫌気培養を行うことでC. bescii CECの調製方法を確立した。これを用いてカルボキシメチルセルロース(CMC)分解活性を検討し質量分析を行った結果、160kDa以上のタンパクがCMC分解活性を有し、既に特性が明らかになっているCelAおよびCel9B/Man5A以外に未だ特性が明らかになっていないマルチドメインセルラーゼCelE、CelFが含まれていることを示した。CECの基質特異性評価の結果、ローカストビーンガム、リケナン、キシランの順で活性が高く、その他にグアーガム、CMC、リン酸膨潤化セルロース、ろ紙、アビセル、チモシー、稲ワラが分解され様々な酵素活性を有することを示した。また、CECの至適pHは5.0-6,0であり至適温度は75-85℃であることを示した。さらに、CECのアビセル、チモシー、稲ワラに対する酵素活性は従来の酵素糖化法で用いられているTrichoderma reesei酵素液よりも2倍高いことを明らかにした。これらの結果より、C. bescii CEC内に含まれる4つのマルチドメインセルラーゼは、75℃以上での様々なセルロース系バイオマスの分解に有用であることを示した。 さらにCEC内の個々のタンパクの機能を解析するために、C. besciiから抽出したゲノムDNAを鋳型として、14領域のクローニング/発現プラスミドの作製を行った。その後異種宿主を用いて組換えタンパク抽出を行い発現の確認を行った。現在、作製した組換えタンパクの機能解析に向け大量培養系の構築を/目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、Caidicellulosiruptor besciiセルロース分解酵素系(CEC)の酵素作用の基礎的な解析結果をまとめ論文発表を行うことができた。 さらにCEC内の個々のタンパクの機能を解析するために、C.besciiから抽出したゲノムDNAを鋳型として、14領域のクローニングプラスミドおよび発現プラスミドの作製を行い、異種宿主を用いた組換えタンパク抽出ならびに発現の確認を行うことができた。現在、次年度の達成目標である「作製した組換えタンパクの機能解析」に向け、タンパクの大量培養系の構築を目指しているためおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、CEC内の個々のタンパクの機能を解析するために、C.besciiから抽出したゲノムDNAを鋳型として14領域のクローニング/発現プラスミドの作製および組換えタンパクの発現確認を行った。しかし、マルチドメインセルラーゼ活性を示す領域のタンパクの発現は確認されなかった。そこで7種類のベクターを用い、大腸菌、酵母、ブレビバチルスなど様々な異種宿主を用いてタンパクの発現確認を行ったが、マルチドメインセルラーゼ領域タンパクの発現は依然微弱であり、当初計画していたマルチドメインセルラーゼ領域の変異体タンパクの作製による分子内相乗効果の解明を行うことは困難である。そこで、発現が確認されたCEC内の別の組換えタンパクの機能解析に向け、タンパクの大量培養系の構築を行っている。今後はこの組換えタンパクの機能解析を行うことでC.besciiCECが高活性な理由を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(2 results)