2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00238
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
荒井 健一 富山大学, 生命融合教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 肝臓 / アシアロ糖タンパク質 / 人工材料 / トランスポーター / 3次元培養法 / 肝機能 |
Research Abstract |
高機能の肝組織を工学的に構築する為には、組織のすみずみまで酸素と栄養が供給される毛細血管様構造の構築、動脈、静脈に加えて門脈系が加わる脈管系の構築、更に産生される胆汁の排出制御、肝実質細胞が血管側と胆管側で厳密に細胞膜タンパク質の極性が制御されていること及び、3次元環境下で細胞および足場材料の配置の制御などの解決が必要不可欠である。本研究では、肝臓の組織工学の様々な問題点の中から、肝実質細胞の3次元培養環境下での配置及び膜タンパク質の極性の制御に焦点を絞り、解決することを目的とする。これにより、従来の人工肝臓作製の研究では困難であった細胞の正確な配置の制御、及び排出系のトランスポーターの局在を制御することにより毛細胆管の形成制御、肝実質細胞膜表面の薬物取り込みトランスポーターの局在を制御することで、薬物の取込み量の増加が予想される。昨年度までに我々は、生体適合性材料であるアルギン酸ゲル構造物の作製をマイクロレベルで成功している。そこで、本年度は、肝実質細胞の極性を制御できる足場材料を検討した。その結果、ガラクトース基を足場材料として用いることにより、肝実質細胞の血管側に主に発現しているアシアロ糖タンパク質レセプターの極性を制御することに成功した。更に、ガラクトース材料を用いることよりコラーゲン上での培養よりも、肝特異的なmRNAの発現量が維持されていた。このことから、我々は、マイクロレベルで形態を制御したアルギン酸ゲルとガラクトース材料を組み合わせることにより肝実質細胞の極性を制御できる3次元培養環境を作製することを来年度から検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、細胞の極性を制御する足場材料の検討の他に、アルギン酸ゲルにポリイオンコンプレックスにより結合するガラクトース材料を作製したが、作製段階で条件検討が必要であり、アルギン酸ゲルへの結合まで到達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度より、我々は、動物実験代替法として利用できるように細胞源にも注目している。細胞源としては、ヒト羊膜由来上皮細胞に着目した。上記の細胞は既に肝実質細胞への分化誘導法が報告されている。しかしながら、誘導した細胞が極性を有するかに関しては未だ報告されていない。そこで、我々は、ヒト羊膜由来上皮細胞を分化誘導し、マウス肝実質細胞と同じような挙動をガラクトース足場材料上で示すか検討している。今後は、分化誘導した細胞を足場材料に播種し、細胞の極性を維持できるか検討する予定である。
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Research Products
(3 results)