2013 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸動物の多様化はどのように起きた?:生息(微)環境比較から見る集団形成要因
Project/Area Number |
12J00291
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新倉 弥幸 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 系統地理学 / 遺伝的多様性 / 氷河期 / ハマダンゴムシ / イソカニムシ / イソフサヤスデ / 分岐年代推定 / コイソカニムシ |
Research Abstract |
具体的内容、意義、重要性 地球上には様々な動物が生息しているが、特に沿岸部は大半の動物門の動物が生息し、また陸上と海洋との境となるため様々な微環境が存在するため、動物の多様性と環境との関わりを調査するにあたって興味深い場所である。日本列島の周辺は氷河期に激しい環境の変化があったことがわかっているため、過去の環境変化と沿岸動物の多様化について研究するよいフィールドであると言える。 申請者は先行研究において、砂浜海岸に生息するハマダンゴムシという種について日本周辺での遺伝的多様性を明らかにし、遺伝的多様化と日本列島形成の歴史について考察をしてきた。本研究は、沿岸種の遺伝的多様性の共通パターンを明らかにすることを目的として、砂浜/岩礁海岸などの生息(微)環境の違いを考慮した計画にそって行っている。 昨年度は、主に陸生種3種について日本全国レベルの遺伝的集団構造の解析を終えた。今年度は他の陸生種1種(コイソカニムシ : 岩礁性)について解析を行った。その結果、コイソカニムシ内の十分な遺伝的分化および日本列島における地理的な構造は確認できなかった。そのため、本研究の対象種から外して考察を行った。また、昨年度に集団構造解析を終えた3種について、新たに個体群動態解析を行った。 考察対象種3種に共通した特徴としては、日本沿岸には複数の遺伝的集団が存在すること、そのうち日本海の沿岸には単一で固有な遺伝的集団が存在することが挙げられる。また、それらの遺伝的集団が形成され始めた時期は、氷河期のなかの氷期であると推定された。氷期には海水面が大きく下がり、海岸線が大きく変化し、それにより沿岸環境が劇的に変化したと考えられている。個体群動態解析結果との比較により、氷期後の間氷期にあたる時期に集団サイズが増加したことが示された。これらより、氷期の環境変化が日本周辺に生息する沿岸節足動物の遺伝的な多様化を促進したと示唆される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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