2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00297
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉野 義都 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ODSフェライト鋼 / 粒界すべり / 動的再結晶 / 転位の上昇運動 / 高温変形 |
Research Abstract |
[目的]最終年度の到達目標は、酸化物粒子分散強化型(Oxide Dispersion Stfengthened, ODS)フェライト鋼の高温変形の体系的なメカニズムを解明することであった。 [実験]15Cr系-ODSフェライト鋼において微細粒を有する冷間圧延材と、結晶粒を粗大化した再結晶材を用い、引張試験片を結晶粒伸長方向に対し平行部と垂直部から採取した。粒界の変形挙動を調査するために、800℃、原子の拡散が活発になる900℃での高温引張、クリープ試験を行なった。破断材を用いて、集束イオンビーム装置(FIB)、電子顕微鏡(TEM)観察を行ない、ODSフェライト鋼の高温変形メカニズムを明らかにした。 [結果]微細組織を有する冷間圧延材の800℃において、応力を結晶粒伸長方向に対し平行にかけた場合と比較して垂直にかけた場合の最大引張強さは約半分であったが、低歪速度側でも変形の律速段階を表す応力指数nは、粒界すべりの場合のn=2より大きい、9.2であった。冷間圧延材の変形後のTEM写真から粒内の酸化物粒子による転位のpile-upや回復・再結晶した後に形成するサブグレインが認められた。このことから変形を支配しているのは、分散粒子により形成されるサブグレイン内の転位の上昇運動であると考えられる。一方、再結晶材の垂直に応力負荷した場合の900℃で低応力において応力指数n=2の領域が出現する。これは変形温度の900℃で、冷間加工材の再結晶温度であること、粒内にサブグレイン形成に必要である転位密度が低いことがあげられる。800℃では粒内変形が支配的に生じている一方で、高温側の900℃ではナバロ-ヘリングの空孔の格子拡散による粒界すべりが発生していると考えられる。 以上の結果から、本研究の目標であるODSフェライト鋼の高温変形メカニズムを明らかになり、期待通りの成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)