2012 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀西洋図像新聞紙における東アジア図像印象について
Project/Area Number |
12J00331
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
陳 其松 関西大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 絵入り新聞 / 西洋図像新聞 / オリエンタリズム / 年画 / 龍 / 阿片 / 東アジア / 文化交渉 |
Research Abstract |
本研究は19世紀西洋図像新聞を中心に調査を行い、東アジア関係の図像とその掲載経緯を解明することによって、西洋文明が東アジア世界に対する文化的、図像的な構築を考察するものである。24年度において、英、米、仏の図像新聞紙を幅広く調査した上、「年画、「龍」と「阿片」この3つのテーマを考察した。中国側の勝利を謳歌する年画の事実との食い違いを指摘したり、中国の龍を西洋のドラゴンと意識的に混同されたり、中国人の阿片吸引を報道する英、米新聞紙の姿勢の相違などから、西洋新聞紙に掲載された中国関連図像は、特定の中国観、文化観を読者に示そうとする痕跡が見受けられる。まさに図像は一種の非文字的な「テキスト」として、西洋市民が理解した中国像、東アジア像を物語っている。本研究が取り扱うの一次図像史料は未発掘のものが多く、新聞図像を基軸とした東アジア文化像の研究も未だに珍しい。今後新聞史料の調査範囲の拡大や、中国以外の東アジア諸国を研究の射程に入れることにより、「図像」という情報枠組みにより構築された「東アジア」の様相をより一層解明できると信じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、2本の論文を学術誌で発表したほか、3回の海外発表、2回の資料調査も行った。さらに24年11月に学位論文「19世紀西洋図像新聞から見た東アジア図像印象の研究」を提出し、25年3月31日に博士号(文化交渉学)を取得できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで主に英米新聞紙における東アジア情報を検討してきたが、本年度は仏、独などの新聞紙をも視野に入れる方向である。特に国際日本文化研究センター所蔵のL'Illustraion、Illustrierte Zeitungなどの西洋新聞紙を中心に調査を行う予定である。
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Research Products
(5 results)