2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J00347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 葉菜 東京大学, 大学院・法学政治学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 福祉政策 / アメリカ政治 / 歴史的制度論 / アメリカ政治発展論 |
Research Abstract |
2012年5月の日本選挙学会の年次大会(於筑波大学)での報告において、アメリカ有権者の反福祉感情の要因を、これまでの先行研究では指摘されてこなかった、福祉が持つ女性の社会進出支援という側面から明らかにした。これにより、アメリカにおける福祉が女性への財政支援を主としてきたにもかかわらず、有権者の福祉政策に対する政策態度を決定する要因として、これまで有権者たちがもつ女性に対する態度などの諸要因が考慮されてこなかった、という先行研究の課題を克服することができた。その一方で、研究を進めるにつれ、アメリカにおける最も大きな福祉改革である1996年福祉改革について十分な研究がなされていないと認識するに至った。1996年福祉改革に至るまでのメカニズムを理解するには、改革当時のクリントン政権だけではなく、1980年代半ばのレーガン政権以降の制度変容に着目しなければならないと考えられるからである。そこで、これまでの研究の知見を活かし、その上で更なる学術的貢献を目指すため、研究方針を修正し、1996年福祉政策に至るメカニズムについての研究に焦点を合わせた。ロナルド・レーガン大統領図書館に資料を照会し、一次資料を取り寄せ、歴史的観点から分析を継続した。最終的に、同研究は、2013年3月締切の日本政治学会の年報政治学への論文(査読付き)提出に至り(審査中)、また2013年6月の日本比較政治学会の年次大会(於神戸大学)で報告する機会を得た。目下、この方針に沿い、より厚みを持たせるため研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既存の研究の限界と新しい研究の方向性を見出し、当初予定していた研究内容に修正を加えることで、より学術的貢献度の高い研究を実施することができた。また質の高い一次資料を入手できたことから、研究計画通りに学会報告の機会を得て、また査読のある学会誌に投稿することができた。当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究方針のまま、研究を継続する。既に現在の研究の大きな枠組みはできているので、肉づけの作業をすることになる。具体的には、既に資料調査をおこなったロナルド・レーガン図書館とクリントン大統領図書館に加え、ジョン・F・ケネディ大統領図書館、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領図書館の資料を収集し、歴史的叙述の内容を深め、より説得力のある議論にできるよう努めることになる。
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Research Products
(1 results)