2014 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル触媒を用いた含硫黄複素環化合物の新規合成法の開発とその応用
Project/Area Number |
12J00362
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井波 輔 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニッケル / 環化付加反応 / アルキン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はニッケル触媒を用い、従来は報告例の少なかった遷移金属触媒による含硫黄複素環化合物の簡便な合成法を確立することを目的として行ってきた。最終年度である今年度は、これまでの2年間で得られた知見を基にして、これまでに報告例のなかった、硫黄を含むヘテロ芳香環の直接的な切断を伴った環化付加反応を2つ見いだした。一つ目は炭素2位にトリフルオロメチル基を有するベンゾチアゾールとアルキンの環化付加反応である。本反応の直接的な生成物は7員環のベンゾチアゼピンであるが、反応系を加熱することで硫黄の脱離が促進され、6員環であるキノリン環を得ることができる。本反応は形式的に硫黄原子とアルキンの置換反応と見なすことができ、非常に興味深い反応である。また、反応機構解明のために当量実験を行った結果、鍵中間体である酸化的付加体を得ることに成功し、その構造を単結晶X線構造解析によって同定することができた。これによって本反応が芳香環の直接的な切断を伴って進行していることを実験的に確認した。さらに。この反応で得られた知見を基にして、ベンゾチオフェンを基質として用いた場合にも同形式の反応が進行することを見いだした。ベンゾチオフェンを基質として用いた場合、7員環生成物であるベンゾチエピンを良好な収率で得ることができた。本反応では、2位の置換基として、一般的に電子供与性の置換基と見なされるメトキシ基や、電子求引性基として見なされるフルオロ基のどちらも用いることができることを明らかとした。これら二つの反応は、これまで全く報告例のなかった芳香環の直接的な切断を経る環化付加反応であり、得られる生成物が重要な構造を有しているだけでなく、学術的にも非常に興味深い反応である。
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Research Progress Status |
本研究課題は平成26年度が最終年度のため記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成26年度が最終年度のため記入しない。
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Research Products
(3 results)