2012 Fiscal Year Annual Research Report
クサトベラの種子散布様式の異なる2型が同所的に出現するメカニズムの解明
Project/Area Number |
12J00375
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
榮村 奈緒子 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 二型 / 海流散布 / 鳥被食散布 / クサトベラ / 適応的意義 |
Research Abstract |
海岸植物のクサトベラには、異なる種子散布能力を持つ果実の二型が集団内で同所的に存在する。一方は果実に水に浮くコルク質と鳥の餌となる果肉質を持つコルク型、もう一方は果実に果肉のみをもつ無コルク型である。本研究では、この二型の適応的意義と出現メカニズムを明らかにすることを目的とした。 二型の果実の海流と鳥による潜在的な種子散布能力を比較した。海流散布能力は、コルク型は海水に長期間浮遊し続けたのに対して、無コルク型はすぐに沈んだことから、前者の果実のほうが特に優れていると考えられた。鳥散布能力は果肉糖度が無コルク型の方が高いことから、無コルク型の方が優れていると考えられた。南西諸島と小笠原の22島91サイトの異なる地形において二型の出現頻度を調べた結果、コルク型は浜で優占的に出現したのに対して、無コルク型は海崖で高頻度に出現した。以上のことから、二型は異なる地形で適応しており、散布能力と地形の交互作用が出現頻度に影響していること考えられた。 二型の出現メカニズムを調べるために、交配実験と遺伝解析を行っているところである。交配実験では、異なる型間でも結実し、果実型は母樹に依存することが明らかになった。しかし、これらの種子の発芽能力の有無および果実型は不明である。葉緑体と核のDNAの塩基配列を比較した結果、型間で違いがみられなかった。6島17サイトの約100個体の葉のサンプリングを行い、今後RADシーケンシングによる集団解析と形質に関連する遺伝子の特定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果を論文に掲載する事以外は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.二型の果実は果肉糖度以外にも鳥散布能力に違いがあるのかどうかを調べる(果実の色、鳥による採食頻度等)。 2.RADシーケンシングによって、二型の集団解析と果実の構造に関連する遺伝子の特定を行う。 3.成果を論文に投稿し、学会等で発表する。
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Research Products
(3 results)