2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム装置とイオン液体を組み合わせた新規マイクロ・ナノ構造体作製法の開発
Project/Area Number |
12J00380
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南本 大穂 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 室温イオン液体 / 量子ビーム装置 / 新規微細加工 / 放射線化学 / MEMS |
Research Abstract |
本研究では、難揮発性等の物理化学的性質を有する室温で液体の有機塩であるイオン液体を真空チャンバに導入し、集束イオンビームや電子ビームを真空条件下で照射して液中での化学反応を誘起することにより、三次元の微細構造体を作製する手法の開発を行っている。これまでに、重合性イオン液体と集束イオンビーム描画装置を用いた高分子構造体作製については、通常の固体レジスト材料を用いた直接描画法では作製が不可能、あるいは極めて困難な形状のものでも、ビームの単純なラスター走査で短時間に作製できることを明らかにし、本技術が通常の微細加工法に比べて極めて有用であるという事実を見出している。 昨年度は、当初予定していた通り、以前までに得られていた形状の構造体が作製できる反応機構の解明を目指して研究を行った。それに向けた構造体作製における様々な条件検討や理論計算を重ねた結果、ついに反応機構の解明に成功した。また、これまで達成されていなかった電子ビーム描画装置を用いた構造体作製にも成功し、多様な重合性イオン液体を用いての構造体作製も達成している。加えて電子線を用いた場合の構造体形成の反応機構の解明にも成功した。その結果、イオンビームと電子ビームを状況に応じて使い分けることによって望みの形状のものが作製できるという新たな知見が得られた。この知見は、本技術をこれまでにない全く新規な微細加工法として提唱するにあたって極めて重要なものになると期待される事実である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度における当初の研究計画は、集束イオンビーム照射に伴い微細高分子構造体がイオン液体中で形成されるメカニズムの解明、及び電子ビームを用いた高分子構造体の作製を行う予定であった。それらに向けて、実際に研究を遂行することで、前述のメカニズムの解明や電子ビームを用いた構造体作製にそれぞれ成功し、研究計画通りの成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度における研究計画として、イオン液体中での化学反応、特に溶媒和電子による還元反応を制御することで金構造体作製を行う予定である。これまでに我々の研究グループでは、イオン液体に金属塩を溶解し、量子ピームである電子ビームやγ線を照射することによる金属ナノ粒子作製法の開発に成功してきた。この事実を応用し、イオン液体に金酸塩を溶解し、量子ピームのパターン照射により金の構造体作製法の開発を行いたいと考えている。 また、金以外の様々な金属でも同様に構造体作製に取り組みたいと考えており、特に銅の構造体においては、金に変わる安価な材料として注目が集まっているため、銅の構造体作製の達成は極めて重要な事実になると期待できる。
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Research Products
(5 results)