2013 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム装置とイオン液体を組み合わせた新規マイクロ・ナノ構造体作製法の開発
Project/Area Number |
12J00380
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南本 大穂 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオン液体 / 量子ビーム装置 / 新規微細加工 / 放射線化学 / MEMS |
Research Abstract |
本研究では、難揮発性等の物理化学的性質を有する室温で液体の有機塩であるイオン液体を真空チャンバに導入し、集束イオンビームや電子ビームの照射に伴い誘起ざれる化学反応を制御することによる三次元微細構造体作製法の開発を行っている。 昨年度までに、重合性イオン液体と集束イオンビーム描画装置を用いた高分子構造体作製において、通常の固体レジスト材料を用いた直接描画法では作製が困難な形状のものでも、ビームの単純なラスター走査で短時間に作製できることを明らかにした。 本年度は、より高い分解能での反応制御を目指し、イオンビームよりも分解能が高いがエネルギー付与率が低い電子線を用いての重合反応制御を目指した。イオン液体は昨年度から用いていた重合性の低いアリル基を有する重合性のイオン液体と、高い重合性を有するビニル基含有イオン液体を用いた。アリル基含有イオン液体を用いた場合、非常に大きい照射量を与えることでアスペクト比の高い構造体を作製することが可能になった。また、ビニル基含有イオン液体を用いた場合、その高い反応性のため、僅かな照射量でもイオン液体単体での構造制御は非常に難しかった。前年度までに明らかにした重合反応過程におけるアリル基の架橋反応が三次元構造形成に非常に重要な役割を担っているという事実に着目し、ビニル基含有イオン液体に架橋剤を添加して同様の実験を行った。その結果、アリル基の場合に比べて高い分解能を有する構造体が作製可能になり、100㎜以下の分解能の達成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度における当初の研究計画として、電子線を用いた高分子構造体作製技術の確立が挙げられる。この計画に対して、実際に研究を遂行することで異なる重合基を有するイオン液体を用いての微細構造体作製に成功した。加えて、それぞれの重合基が析出形態に与える影響と反応メカニズムについての知見を得ることにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度における研究計画として、イオン液体中での化学反応、金属イオンの還元反応を制御することにより金属微細構造体作製技術の確立を行う予定である。これまでに我々の研究グループは、金属塩含有イオン液体に、量子ビームである電子ビームやγ線を照射することによる金属ナノ粒子作製法の開発に成功している。この事実を本技術に応用し、金酸塩含有イオン液体に電子線のパターン照射を行うことで金の構造体作製を行いたいと考えている。る。現在までの取り組みにより、金構造体作製にはイオン液体の選択が非常に重要であるという知見が得られており、次年度はその知見を基に研究を遂行する予定である。加えて、金以外の様々な金属でも同様に構造体作製に取り組みたいと考えており、これまでにない金属パターンの直接描画法として提唱したいと考えている。
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Research Products
(4 results)