2012 Fiscal Year Annual Research Report
希土類酸化物を基盤とした新規な窒素酸化物浄化触媒の開発
Project/Area Number |
12J00427
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 総一郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒素酸化物(NOx) / 立方晶C型希土類酸化物 / 直接分解 |
Research Abstract |
本申請研究では、優れた窒素酸化物(NOx)浄化触媒の開発を目的とし、白金や、アンモニアなどの還元剤を用いることなく、接触のみでNOxを無害な窒素と酸素に分解する直接分解触媒の開発を行っている。直接分解触媒としては、これまでにペロブスカイト型酸化物などが報告されてきたが、申請者は立方晶C型構造を有する希土類酸化物が、より高い直接分解活性を示すことを見出した。当該年度は、触媒活性のさらなる向上を目指して、熱安定性に優れる酸化イットリウム(Y_2O_3)や酸化ホルミウム(Ho_2O_3)を触媒母体とし、希土類元素を中心に添加元素の最適化を行った。その結果、プラセオジムイオン(Pr3+/4+)が触媒の酸化還元能と塩基性を同時に向上させ、触媒活性を大きく増加させることが明らかとなった。また、Pr^<3+/4+>イオンを用いることで、バリウムイオン(Ba^<2+>)なしで80%を超えるNOx浄化率が得られた。Ba^<2+>イオンは、触媒の塩基性を増加させ、酸性ガスであるNOxを引き付ける働きをもっているが、同時に二酸化炭素を強く吸着してしまうため、二酸化炭素による被毒を受けやすくなる問題があったが、Pr^<3+/4+>を用いることによって、二酸化炭素共存下においても高い活性を維持する触媒の開発に成功した。 また、触媒調製法の検討により、さまざまな形状をもった触媒粒子の合成に成功しており、中でも触媒の前駆体として炭酸塩を用いることで、高い活性を示す触媒が得られることがわかった。さらに、触媒メカニズムの解明にも力を注ぎ、高温in-situのIR測定などによって、触媒表面におけるニトロシルイオン(NO^-)が活性種となることを突き止めた。 以上の結果は、いずれも今後の触媒設計に生かすことができる重要な知見であり、本申請研究が予定していた当該年度における目標を十分に満たすものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度における本研究計画は、触媒組成の最適化、触媒調製法の検討、触媒メカニズムの解明ならびに触媒の耐久性評価である。以上の4点について、本研究では平成24年度において十分な成果を残した。中でも、触媒メカニズムに関する知見は、学会発表ならびに論文発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、解明した触媒メカニズムを触媒設計にフィードバックしていくとともに、より詳細な分解機構を明らかにしていく予定である。また、これまでに重点を置いてきた希土類元素のほかに、遷移金属元素などを添加元素候補として選択し、触媒組成の最適化を進める予定である。以上の研究指針に従って、研究を遂行することで、本触媒において、触媒活性を向上させる新たな要因が明らかになると考えられ、より優れた触媒の設計が可能になると考えられる。
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Research Products
(5 results)