2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノメディシン開発の高効率化に資するナノマテリアルの生物学的修飾技術の開発
Project/Area Number |
12J00488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 敏郎 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノマテリアル / 抗体 |
Research Abstract |
申請者は、有効なナノマテリアル創薬の高効率化を最終目的に、ナノマテリアルの潜在能力を最大限に担保出来る生物学的な表面修飾技術の開発に向けて研究を推進している。当該年度は、非晶質ナノシリカに対する特異的抗体が誘導されたマウスにおける、非晶質ナノシリカのハザードの変動を評価することで、抗体修飾ナノシリカの有効性・安全性を評価した。その結果、抗体の誘導されたマウスでは、ナノシリカの細胞内侵入活性等が亢進している可能性を見出したことなど、特異的抗体による生物学的修飾によりナノマテリアルの活性を制御可能である点を見出した。また、少なくともナノシリカに対する抗体産生に、無機粒子に対する起炎性に重要であることが知られるNLRP3インフラマソームが関わっていないことを明らかとしたことで、非晶質ナノシリカに対する抗体誘導が、既知の粒子に対する免疫認識機構とは異なる、新たな経路を介している可能性を示した点で意義深い。現在、他の粒子に対しても、あらかじめ免疫投与を行っておくことで、その生物応答を変動させられる可能性を見出すなど、獲得性の免疫反応が誘導されることを示唆している。このことは、無機粒子に対する獲得免疫誘導が普遍的現象である可能性を示唆したことを意味し、ナノマテリアルに対する生物学的修飾技術の汎用性の高さを示唆する重要な知見であると共に、これまで未知であった異物認識機構の存在を示唆する点でも非常に意義深いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通り、申請者が考案した生物学的修飾技術により、非晶質ナノシリカの生物活性を少なくとも一部制御できることが証明できたこと、さらに、その技術の普遍性が示唆された点から、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、現在予定通りに研究が進展していることに加え、その技術の普遍性を示唆する知見が得られているため、来年度は、その普遍性の検証を重点的に実施する。具体的には、ナノ銀を免疫することで誘導されたナノ銀に対する生物応答の変動が、抗体によるものである可能性を検証し、申請者の提案するナノマテリアルの生物学的修飾技術の汎用性を明らかとすることで、本技術の有用性を示す予定である。
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Research Products
(4 results)