2013 Fiscal Year Annual Research Report
中心体キナーゼLats2のM期或いはDNA損傷下における核移行後の機能解析
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12J00502
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 宏和 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アポトーシス / Lats2 / Nuclearspecckle / DNA損傷 |
Research Abstract |
本年度の上半期は、論文受型のための実験(リバイス実験)に時間を多く割きました。具体的な成果としては、 ・Lats2とp21が結合する : 細胞内での結合を見た免疫沈降法、細胞外で精製タンパク質の結合を見たpull down assay法で確認。この結合には、Lats2のリン酸化状態、p21のリン酸化状態は大きく寄与しなかった。 ・アポトーシスに対するp21の影響 : 紫外線照射により細胞はアポトーシスが起こるが、p21を強制発現させることでそのアポトーシスが和らいだ。 ・一方で、p21を不安定化させただけではアポトーシスは起こらなかった。 ・NDRとp21の関連について : p21のSer146をリン酸化する因子として、NDRが報告されている。IDRは細胞周期の過程でScr146をリン酸化する。今回のDNA損傷の経路でどれほどの関与があるのかを調べた。その結果、NDRをKnock downしてもP21の安定化は見られず, DNA損傷下流ではLats2がSer146のリン酸化を担っていると考えている。 ・S835A変異体Lats2のドミナントデガティブ効果 : p21のリン酸化抗体を用いて内在性のリン酸化を確認できる。しかし、Lats2のS835A変異体を導入するとp21のリン酸化は起こらなかった。これは、S835A変異体Lats2がシグナル伝達経路を阻害したためと考えている。 この点で私が最も重要であると考えているのは二点目で、p21をKnock downしただけではアポトーシスが起こらなかったという事実です。木論文のおおまかな概要は、「紫外線照射で活性化したLats2が、細胞死を阻害しているp21を分解誘導する事で細胞死を導く」というものです。しかし、p21の阻害だけではアポトーシスが起こりませんでした。よって私は、「細胞死を阻害しているp21を分解するだけ細胞死が起こる」ことに対して疑念を感じています。この「Lats2によるp21分解」とは別にもう一つ、「より積極的に細胞死を導く経路」をLats2が活性化していると予想しています。 この手がかりをつかむべく、昨年度末からLats2の局在について昨年度から注目しています。通常、細胞質の中心体に局在すると考えられているLats2ですが、この活性型Lats2は核内に移行し、いくつものドットを形成しました。核内はそういったタンパク質が局在する部位があることは多く報告されており、Cajar body、核小体、PML bodyがその代表として知られています。この活性型Lats2がそういった核内コンパートメントに局在する可能性が高いと考え、これらのマーカーとの共局在の有無を調べた結果、Nuclcar speckleに局在することがわかりました。 さらに興味深いことに、本来分解を受けるS146リン酸化型p21のタンパク質分解を阻害し、このリン酸化型p21の局在を観察すると、これもNuclear speckleに局在しました。このことから、三つの仮説にもとに研究を進めています。 1. Nuclear speckleの因子にLats2がリン酸化を施す : Lats2によってリン酸化を受ける因子がNucloars pcckleに存在すると考え、Nuclear speckleを抽出し、質量分析を用いてLats2によりリン酸化される因子があるか調べました。その結果、PHF6という因子がLats2によりリン酸化を受けました。このリン酸化抗体を作成し、細胞へ与える影響などを調べています。 2. Lats2によるp21へのリン酸化がNuclear speckleで起こる : リン酸化型Lats2、リン酸化型p21がどちらもNuclear spcckleに局在することから、本研究で明らかとなったリン酸化がNuclcarspcckleで起きている可能性が示唆される。 3. アポトーシスへの関与 : Lats2が、p21の分解だけとは別に、より積極的にアポトーシスを促進する経路に関与するという考えに基づき、Nuclear speckleでアポトーシスに関与する可能性を調べている。しかし、Nuclear speckleに局在することが報告されたアポトーシス関連因子とLats2の局在は今のところ見られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文受理という最低限の目標は達成し、国際学会はじめおおくの発表も行うことができた。 一方で、Nuclear speckleに活性型Lats2が局在するという事実の意義について、PHF6という候補があがりリン酸化抗体を作成するまでには至ったものの、大きな進展はみられていない。 同様にリン酸化型p21もNuclear speckleに局在するという非常に興味深い現象は見られたものの、その意義についても明らかとならず、課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Nuclear speckleに活化型Lats2が局在する意義を明らかにることが最大の目的となる。 1. 細胞死とは無関係の事象にLats2が関与する。 2. p21に対してのリン酸化がNuclear speckleで起きている。あるいは、リン酸化を受けたp21、Lats2がNttclearspeckleに移行する。 3. 細胞死を積極的に促す経路にLats2がNuclear speckleで関与する。 この三点の可能性を視野に入れつつ研究を進めていく。
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Research Products
(5 results)