2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00518
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻野 陽輔 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アーク溶接 / 数値解析 / 3次元モデル / アークプラズマ / 溶融池 |
Research Abstract |
本研究はものづくり分野において不可欠な技術となっているアーク溶接プロセスのさらなる高品質・高効率化を目指し,数値シミュレーションモデルを構築しアーク溶接現象を可視化することでより深く理解することを目的としたものである.本年度における研究実施状況を以下にまとめる. ・金属蒸気の混入を考慮したアークプラズマ・溶融池の3次元統合モデルの構築 アークプラズマと溶融池表面との相互作用として,溶融池表面より蒸発する金属蒸気の影響を考慮した3次元モデルを構築した。金属蒸気がアークプラズマ中に混入するとアークプラズマの特性が変化するため,溶融池に対してのエネルギーの伝わり方も変化し,溶融池の形成現象に大きく影響を及ぼす.申請者は数値シミュレーションの対象として,2電極ティグアークを設定し,アークプラズマの温度分布等の特性ならびに溶込み形成現象について解析した.2電極ティグアークはティグ溶接の高能率化のために電極を複数(2本)利用するものである.その結果,1本の電極を用いる単電極ティグアーク溶接に比べ,2電極ティグでは深い溶込みが得られることがわかった.さらに,2電極ティグにおいて電極の配置を変化させた際にはそれぞれ特有の楕円形状の溶融池が形成された.これらの溶込み形状の変化は熱源形状の変化ならびに溶融池内の流れの変化によるところであると解析により示唆された.特に溶融池内の流れに対しては溶融池表面近傍におけるアークプラズマ気流によるせん断方向の力の影響が大きく出ているものと推測された.これらの数値シミュレーションにおける溶込み形状の解析結果と実験結果を比較したところ,両者は良好な一致をみせた. これらの結果から,補研究で構築したモデルは多電極溶接プロセスにおけるアーク溶接現象の変化を再現できており,複雑な現象を解明するために有用であるといえる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した通り,金属蒸気の混入を考慮したアーク溶接プロセスの3次元モデルを開発することができたため.また,その結果に関して国内学会ならびに国際会議において報告できたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
アークプラズマと溶融池の相互作用として,金属蒸気につづいて溶融池表面の形状変化を考慮した数値解析モデルを構築する.まず,溶融池現象のみに注目したモデルを開発し,入熱などのパラメータならびに溶融池内における流れの駆動力が変化した際の溶込み形成現象の変化を解析し,それらの影響をまとめたのち,アークプラズマモデルとの統合化を図る.
|
Research Products
(3 results)