2012 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素によるナトリウム-カルシウム交換系活性調節に関わる分子機序の解明
Project/Area Number |
12J00523
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 友樹 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナトリウム-カルシウム交換系 / 一酸化窒素 / HEK293細胞 / プロテインキナーゼG |
Research Abstract |
本研究は、一酸化窒素(NO)によるナトリウム-カルシウム交換系(NCX)活性制御機序の解明を目指して、特にNO/cGMPの下流シグナルとして機能するプロテインキナーゼG(PKG)によるリン酸化を介した活性制御に着目して解析を行い、脳NCXの創薬的意義を明らかとすることを目的とした。 当該年度では、まず、脳NCXスプライシングバリアント安定発現細胞株の樹立を行った。具体的には、遺伝子工学的手法を用いて構築したC末端部にHisタグおよびV5エピトープタグを付加した脳NCXスプライシングバリアント(His/V5-NCX1.5)の発現プラスミドをHEK293細胞に導入し、抗V5タグ抗体または抗NCX抗体を用いたイムノブロット法により一過的な標的タンパク質の発現を確認した(Ota et al.,in press)。さらに一過的発現細胞対して抗生物質を約2週間負荷することで、安定発現細胞のセレクションを行った後、限界希釈法を用いて細胞をクローン化した。 次に、クローン化した細胞株に関して、抗V5抗体を用いたイムノブロット法により標的タンパク質の発現を確認した。また、Ca^<2+>蛍光指示薬fluo・4を用いた解析系により、NCXの機能的発現も認められた。以上の成績より、His/V5-NCX1.5安定発現細胞株の樹立に成功したと考えられた。 樹立したHis/V5-NCX1.5安定発現細胞株では、fluo-4を用いた解析系においてNoまたはcGMPアナログ処置は細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]_i)に影響を与えなかった。さらに、リン酸化タンパク質ゲル染色法によりPKGによる直接的なNCXリン酸化について検討したが、リン酸化は検出されなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に実施した研究によって、脳NCXスプライシングバリアント安定発現細胞株の樹立に成功した。本安定発現細胞は、V5エピトープタグおよびHisタグ付加により、抗タグ抗体を用いて分子解析が容易なこと等の利点を有し、従来のNO-NCXシグナル解析で認められてきた問題点を大きく改善することが期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に実施した研究では、NCX1.5安定発現細胞株においてNOまたはcGMP処置による細胞内カルシウム濃度変化は認められなかった。本問題点の対策として、宿主細胞におけるPKGの機能的発現が低い可能性を考慮し、NCX1.5とPKGの二重発現細胞の作製を計画している。また、PKGによる直接的なリン酸化に関しては、放射性同位体を用いた方法で再度解析を行う。本解析においてNCXリン酸化が認められた場合、リン酸化部位の同定を行う。 またPKGによるNCXのリン酸化が認められなかった場合、NO処置による細胞内Na^+濃度上昇の有無を検討する。 Na^+濃度上昇が見られた場合、細胞内Na+動態に影響しうる分子(Na^+/H^+交換系、Na^+チャネル、グルタミン酸トランスポーターなど)に関して、特異的阻害薬を用いた薬理学的検討を行う。
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Research Products
(2 results)