2013 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素によるナトリウム-カルシウム交換系活性調節に関わる分子機序の解明
Project/Area Number |
12J00523
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 友樹 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 精神疾患 / 環境要因 |
Research Abstract |
本研究は、一酸化窒素(NO)によるナトリウム-カルシウム交換系(NCX)活性制御機序の解明を目指して、特にNO/cGMPの下流シグナルとして機能するプロテインキナーゼG(PKG)によるリン酸化を介した活性制御に着目して解析を行い、脳NCXの創薬的意義を明らかとすることを目的とした。 前年度、樹立したHis/v5-Ncx1.5安定発現細胞株において、NOまたはcGMPアナログ処置による細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)変化は認められなかった。さらに、PKGによる直接的なNCXリン酸化は観察されなかった。このことは、NOシグナルによるNCX調節が直接的でないことを示している。従って、当初の研究テーマでの研究は困難であることから、当該年度は、新たな研究テーマの立ち上げと、当初の研究テーマと関連した研究、新規のNCX阻害薬の開発を目指したハイスループットスクリーニング系の確立のための予備検討を行った。 新たな研究テーマとしては、「発育期環境要因における概日リズムの影響」についても研究を進めている。精神疾患の発症には遺伝要因に加え、ストレス曝露や薬物摂取のような環境要因が重要な役割を担うことが明らかになってきている。私の所属する研究室では、発育期におけるストレスが脳機能障害を引き起こす重要な環境要因となることを示している。一方、ストレス応答を担うホルモンの分泌量には約24時間周期の日内変動が存在することから、ストレスの作用は生体リズムの影響を受ける可能性が考えられる。そこで本研究では発育期環境要因による精神機能変化における生体リズムの影響を追究する目的で、発育期におけるストレスがマウス精神機能に与える作用の昼間と夜間の違いについて検討を行った。現在までに、不安様行動、ストレス応答ホルモン分泌、脳内モノアミンレベルについてストレスの作用が昼間と夜間で異なることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、NOシグナルによるNCX調節が直接的でないことを示し、当初の研究テーマでの研究は困難であることが考えられた。そこで当該年度は、新たな研究テーマの立ち上げと、当初の研究テーマと関連した研究、新規のNCX阻害薬の開発を目指したハイスループットスクリーニング系の確立のための予備検討を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昼間と夜間のスドレス負荷によって活性化する脳部位の特定を行い、ストレス応答の違いのメカニズムを追究する。また、発育期のみならず成熟期環境要因についても概日リズムの影響を検討していく。一方、慢性的なストレス曝露の作用についても概日リズムの影響を検討し、長期的なストレスによる遺伝子発現変化を解析することで、昼間と夜間の慢性ストレス応答メカニズムについて明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)