2012 Fiscal Year Annual Research Report
鋼部材の劣化挙動を反映した鋼構造立体骨組の3次元倒壊挙動の評価
Project/Area Number |
12J00557
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石田 孝徳 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 角形鋼管柱 / 局部座屈 / 劣化挙動 / 水平2方向外力 / 履歴モデル |
Research Abstract |
強震下において建物が倒壊に至るのは、柱が最終的に自重を支持できなくなるためである。鋼構造建築が倒壊に至るまでの挙動を明らかにし、安全余裕度を評価する上では、軸力と水平2方向外力がそれぞれランダムに作用する条件下での、柱の最大耐力以降の劣化域を含む挙動を追跡するための解析モデルを構築する必要がある。 本研究では、我が国の鋼構造建築の柱材として多く用いられる角形鋼管柱を対象として、まず、一定軸力下で水平2方向外力を受ける角形鋼管柱の局部座屈に起因する劣化域を含む挙動を追跡する解析モデルを構築した。解析モデルは、塑性化領域を複数の軸バネに置き換えたマルチスプリングモデルとし、軸バネの復元力特性に既報の1軸曲げの条件における局部座屈を伴う角形鋼管柱の劣化域を含む挙動のモデルを参考に構築した履歴モデルを適用したものである。また、解析モデルのキャリブレーションのため、水平2方向の載荷履歴、幅厚比、降伏軸力比をパラメーターとした、一定軸力と水平2方向外力を受ける角形鋼管柱の繰り返し載荷実験を行った。本実験の主なパラメーターである水平2方向の載荷履歴については、水平2方向の地震入力を受ける鋼構造立体骨組の応答を概括的に表現した規則的な載荷履歴と、ランダムな載荷履歴による実験を行い、一般性のある結果を得るようにした。これらの実験結果と構築した解析モデルによる解析結果の比較を行ったところ、解析モデルは一定軸力の条件で水平2方向を受ける角形鋼管柱の劣化域を含む挙動を追跡できることがわかった。 次に、規則的な水平2方向の載荷履歴を用いた、変動軸力と水平2方向外力を受ける角形鋼管柱の繰り返し載荷実験を行い、劣化域を含む挙動に関する基本的なデータを得た。現在、実験で得られた荷重-変形関係の分析・検討と、一定軸力の条件における解析モデルを変動軸力の条件にも適用できるように、履歴モデルの修正を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軸力と水平2方向外力がランダムに作用する条件での、角形鋼管柱の最大耐力以降の劣化域を含む挙動の解析モデルの構築が本年度の目標であるが、その第一段階である、一定軸力の条件での解析モデルの構築は完了した。また、変動軸力下の条件における挙動への展開についても、解析モデルのキャリブレーションに必要な基本的な実験は既に終えており、変動軸力への解析モデルの展開のための履歴モデルの修正にも着手していることから、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、まず、本年度において構築した、一定軸力の条件で水平2方向外力を受ける角形鋼管柱の最大耐力以降の劣化域を含む挙動を追跡するための解析モデルを発展させ、変動軸力の条件にも対応した解析モデルを構築する。次に、この解析モデルを組み込んだ、3次元入力を受ける鋼構造立体骨組の弾塑性応答解析を行い、鋼構造立体骨組が倒壊に至るまでの挙動を明らかにし、安全余裕度の定量的評価と倒壊防止策の策定を行う。
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Research Products
(7 results)