2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマターの自発運動と外部駆動のダイナミクスについて
Project/Area Number |
12J00560
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
多羅間 充輔 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非線形・非平衡物理学 / アクティブマター |
Research Abstract |
本研究課題では、ソフトマターの自発運動と外部からの駆動について、理論的な視点から研究を行っている。本年度は、大きく分けて以下の4つの課題に取り組んだ。 まず、アクティブソフトマターの自転運動に関して、粒子が変形の自由度を持つとき、少なくとも2種類の自転運動があることを明確にした。つまり、ひとつには粒子全体が重心の周りに回転する、剛体回転に対応する自転運動であり、もうひとつは粒子の変形が粒子界面上を伝わる、粒子界面上の変形の伝搬波が、粒子の運動としては自転運動として現れるというものである。前者についてはすでに昨年度に成果の一部を論文に公表したが、今年度もその一部と、後者に関する研究成果を論文にまとめ学術雑誌に公表した。 また、アクティブソフトマターの流れの中での運動についての研究も行った。これはドイツ・デュッセルドルフ大学のH. Löwen教授のグループとの共同研究であり、一般の流れに対するアクティブソフトマターのモデリングと最も簡単な線形剪断流中での運動の解析を行い、その成果を学術雑誌に論文として公表した。また別の例として、円形の流れに中での運動についても研究し、特にアクティブマターの枠組みで理論的に散乱実験を行った。 さらに、実際の生物の系との関連として、カエルの精子の運動を計算機シミュレーションにより研究している。この研究は、物性研の野口准教授との共同研究であるが、現段階では計算結果が実際の実験の結果とうまくあわず、生物の系を扱う難しさを感じている。しかし、さらに遂行することで成果を得られると感じている。 最後に磁性ゲルに関する研究も始めた。本研究もH. Löwen教授のグループとの共同研究であり、磁性ゲルの動的不安定性についての固有モード解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクティブマターに関する研究に関しては、それぞれの課題について研究成果も順次発表できており、おおむね順調に進んでいると言ってよいだろう。実際の生物の系に関するシミュレーションによる研究は、難航しているが、生物の系を扱う難しさであると思われる。これについてはさらに遂行することが必要である。最後に、磁性ゲルに関する研究も始めたが、研究の幅を広げる意味では非常に重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度であるので、研究計画にある課題について積極的に研究を行い、成果を発表していきたい。また、実際の生物の系に関する研究は難航しているものの、いまの問題点を解決することで新しいステップに進めると確信を持ち始めているので、さらに遂行し、できれば本研究課題終了までに成果を出せるように努力する。さらにすでに新しい系に関する研究も徐々に始まっており、それについても成果を発表できればよいと考えている。
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Research Products
(10 results)