2013 Fiscal Year Annual Research Report
本土在住の沖縄県出身者の家族とコミュニティに関する文化人類学的考察
Project/Area Number |
12J00589
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
平井 芽阿里 國學院大學, 大学院文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 沖縄県出身者 / コミュニティ / 家族 / 沖縄県人会 / 宗教的連帯 / 移住 / 多元主義 / 沖縄 |
Research Abstract |
平成25年度は、文献資料調査と実地調査を行った。実地調査では、まず沖縄県出身者が本土で結成した各種団体を「沖縄系コミュニティ」とした上で、月に1度開催される沖縄県人会(連合会)の集まりや調査会に参加することによって、主に愛知県在住の沖縄出身者の移住の経緯や就職状況などの情報収集を行った。次に、各種コミュニティ内での個々人の実践に関する調査として、故郷の祭祀儀礼に参加するために、県外で年に数回開催された勉強会に参加し、個々人を対象としたインタビーを行った。また、6月と11月、2014年1月には、本土在住の沖縄県出身者を対象とし(祭祀儀礼に加入する50代の愛知県出身者の男性)、故郷の沖縄県で行われる祭祀儀礼への参加状況の把握や、役割、機能に関する参与観察と聞き取り調査を行った。また、愛知県在住のMさん一家の火の神儀礼を対象に、継承、担い手、年中行事、信仰に関する調査を行った。 次に文献資料調査では、沖縄県庁が管理する全国の沖縄県人会に関するデータ収集に加え、国立国会図書館や大学図書館、公共図書館や公文書館等の研究、行政機関における先行研究および行政、統計資料・新聞、雑誌記事・インターネット情報の収集・閲覧・複写・分析を行った。その上で、先行研究ではほとんど明らかにされてこなかった、故郷と県外在住者の宗教的な関わりについて明らかにする事が可能となった。 本研究の意義は、従来の研究ではほとんど着目されてこなかった、本土在住の沖縄県出身者と故郷との宗教的関わりを対象にし、沖縄系の各種コミュニティに所属する個々人の民俗宗教の日常的実践を多元主義的に明らかにした点にある。また、前年度に引き続き、これまで関西、関東地区に次いで出稼ぎが多かったにも関わらず、先行研究ではほとんど述べられる事のなかった中部地区の沖縄系コミュニティの実態を明らかにした点も、重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、文献資料調査と本土および故郷、沖縄県での数回にわたる実地調査によって、本土在住の沖縄県出身者と故郷との宗教的連帯を、コミュニティに所属する個々人の民俗宗教の日常的実践の分析を通し、改めて多元主義的(Pluralism)視点から再検討するための、基礎的なデータを収集することができたため、調査はおおむね順調に進展しているといえる。しかし、当初予定していた成果の取りまとめ(論文等での発表)については、十分ではないため、やや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の段階では、県外に移住し十数年以上生活しながらも故郷での冠婚葬祭、模合、同窓会、村落祭祀に参加し祭祀組織へ加入するといった事例の分析から故郷と県外移住者の連帯に関して明らかにする事を目的としていた。しかし、「模合」の事例に関しては、調査の結果、必ずしも宗教的連関という分析概念だけでなく、コミュニティへの帰属や個々人の実践という概念で分析可能である事がわかった。また、「冠婚葬祭」の事例のうち、葬送儀礼に関しては、本土での墓の建設や墓参りの状況など、さらなる追加調査を進める予定である。
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Research Products
(5 results)