2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00592
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
董 玉テイ 京都大学, 学術情報メディアセンター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中国語 / 声調 / 母音 / 日本人学習者 / 知覚 / 産出 / 二音節単語 / 化石化 |
Research Abstract |
本研究は日本人中国語学習者の声調、単母音及び子音の知覚・産出という側面に着目し、実際に学習者は物理的な音声刺激をいかに知覚するのか、産出する際にいかなる問題が存在するのかを、中国語母語話者による音声データとの比較を通して明らかにすることを研究目的とする。また、知覚と産出の両方を調査することによって、その知覚的な誤りが産出に影響を及ぼすのか否か、という知覚と産出との関わりを明らかにすることもできる。- 昨年度は日本人学習者を対象に中国語二音節単語の声調の習得調査を行った。本年度はその引き続きとして、去年収録されだ音声データ及び知覚調査の回答を整理し、分析した。音声データの場合は、まず複数の中国語母語話者に依頼し、学習者の発音を評価してもらった。また、音声データを単語ごとに切り分け、音響分析ソフトウェアを用いて、ピッチの高さや音域の変化などについて具体的な数値を抽出した。これと並行して、知覚調査の回答を集計し、電子化した。この分析結果に基づき、初級学習者の中国語声調の知覚と産出の特徴について論文を書いた。結論として、知覚・産出のどちらにおいても、学習者には1-3、2-1、2-3、3-2と4-3といった声調の組み合せの誤りが見られた。そして、第一音節と第二音節の誤答率を比較してみれば、知覚において第一音節は第二音節より聴き取りにくいが、発音においては同様な傾向は見られなかった。こうして、学習者の習得過程における知覚と産出との相互作用が明らかになった。この論文は、国際機関誌「International Journal of Computational Linguistics and Chinese Language Processing (IJCLCLP)」に投稿中である。 このほか、日本人学習者による中国語母音の知覚と産出について、前期と後期に分けて調査を行っている。教室で実験協力者を募集し、収録室で一人ひとりの音声データを採集し、解析している。目標は、一年間の習得過程における変化や化石化を起こしやすい母音を、よりダイナミックに明らかにすることである。今は前期のデータ収集を完了し、後期はもう一度採集作業を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までの研究はすべて研究計画書通りに進み、日本人学習者を対象に中国語二音節単語の声調の習得調査の研究成果について論文を書き、学術雑誌に投稿した。(現在査読中)そして、中国語母音の知覚と産出に関する1実践的な調査も段階的に分けて、各調査を順調に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの調査結果を踏まえ、音声データを整理・評価し、日本人学習者の二音節単語と母音の習得過程における変化及び化石化現象をまとめ、引き続き学術雑誌に投稿し、この成果を発表したい。
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