2013 Fiscal Year Annual Research Report
親密関係の普遍性と社会依存性 : 社会生態学的アプローチによる検討
Project/Area Number |
12J00640
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鬼頭 美江 北海道大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 恋愛関係 / 社会生態学的アプローチ / 関係流動性 / 文化比較 / 競争性 / 親密性 / 対人関係 |
Research Abstract |
本研究の目的は、対人関係の性質を決定する要因として、人間自身が集合的に作り上げている社会環境の性質に着目し、対人関係の性質が生じたメカニズムを理論的かつ実証的に検討することである。本年度は、交付申請書に記載した研究(研究1・2)と昨年度の研究から発展した研究(研究3)を実施した。 【研究1】本研究における理論の前提(自由に関係相手を選択する機会の多い高関係流動性社会では、魅力的な個人をめぐる競争が起きやすい)を実証的に確認するため、関係流動性の高いカナダと低い日本において、調査研究を行った。予測と一貫して、恋人の奪い合い経験のある人は、日本人よりカナダ人に多く、参加者の周囲にいる人々が恋人をめぐってどの程度競争しているのかという競争性認知も、日本人に比べカナダ人の方が高かった。しかし、関係流動性はこれらの日加差を有意に媒介しなかった。その原因として、測定した関係流動性の対象が恋愛関係に絞りきれていなかった可能性が考えられる。 【研究2】研究1の問題を解決するために、恋愛関係流動性尺度を作成し、恋人の奪い合い経験および競争性認知との関連を検証した。その結果、恋愛関係流動性と、恋人の奪い合い経験および競争性認知との関連はどちらも有意ではなかった。この仮説と異なる結果は、自由な関係形成の機会が多い高関係流動性社会では、ライバルとの競争に勝つ見込みがあると判断した場合にのみ競争を試みる、という可能性が考えられる。今後は、個人の競争に勝つ見込みの程度によって競争に参加するかどうかが異なるのかを検討する。 【研究3】昨年度実施した日加比較研究において、人々を取り巻く環境が高流動的であるほど、恋人および親友に対して高い親密性を感じていることが示された。本研究では、関係流動性と親密性との関連の背後あると考えられる3つのメカニズムのそれぞれが妥当かどうかの検討を行った。現在、データの分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究(研究1・2)を行った上で、その問題点を確認し、本研究における今後の新たな方向性を見いだしたことは当初の計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 上記の研究1・2では、本研究の理論の前提としている恋愛関係流動性と競争性との間に関連が見られなかった。競争性認知尺度の改善を行うと同時に、関連が見られなかった理由として、「自由に関係を形成する機会の多い高関係流動性社会では、自分の勝てそうな競争にのみ参加する」という新たな仮脱を検討する。 2. 上記の研究3におけるデータ分析の結果、妥当であることが示されたメカニズムに関して、別の研究方法を用いて追試を行なう。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Happiness and dimensions of relationship intimacy across gender, sex of partner, and cultures2013
Author(s)
Hill, C. T., Barros, M. R., Brumbaugh, C. C., Canto y Rodriguez, J. E., Gonzalez, R. J. C., Ivan, L., Kito, M., Macbeth, G., Razumiejczyk, E., & Mari, S.
Organizer
European Congress of Psychology
Place of Presentation
Stockholmsmassan (Sweden)
Year and Date
20130709-12
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