2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00644
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 成祥 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 交尾後性選択 / ヒメイカ / 捕食リスク / 父子判定 |
Research Abstract |
本研究は、交接後に雄から渡された精子塊を雌が排除することが分かっているヒメイカにおいて、この行動が密かな雌の配偶者選択(Cryptic Female Choice:CFC)であるか検証し、その繁殖生態においてどのように影響を与えているかを調べると共に、本種におけるCFCと捕食リスクとの関係を明らかにすることでその進化過程を解明することを目的とする。一年目にあたる今年度は対象となる長崎個体群を周年採集することによって繁殖動態を把握し、水槽実験と遺伝子マーカーを使った父子判定によりCFCが繁殖成功に及ぼす影響を調べた。 長崎県大村湾を採集場所とし、4月から毎月サンプリングを行った結果、4月から6月にかけて大型世代が繁殖期を迎え、入れ替わるように6月後半から7月まで小型世代が繁殖期を迎えることが判明した。その後大村湾ではアマモ場の消失とともに翌年の2月までヒメイカは採集できなくなった。この結果を踏まえ、1月から3月上旬にかけて、名古屋個体群を用いて水槽実験を行った。雌に二個体の雄を一日おきに交接させ、それぞれの雄の射精量と交接後の精子排除量を計測し、その後雌を隔離し産卵するまで飼育した。25回の交接実験を行い、そのうちの10回で産卵後、孵化稚仔を得ることに成功した。行動観察や受け渡した、または排除を行った精子塊数などの結果は現在ビデオ解によって現在、解析中である。 また、親子判定に使用する遺伝子マーカーの開発に昨年11月から取りくみ、親子判定に使用できる2つのマーカーの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は春から実験を開始するはずだった交接実験は長崎個体群の動態を見極めることに時間がかかったので冬まで遅れてしまい、年度内に解析結果をまとめることが出来なかったが、実験自体は1頂調に終了し、遺伝子マーカーの開発にも成功しており、当初の遅れも計画の遂行にはそれほど大きな問題にはなっていないと思われるため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年に得られた水槽実験データと遺伝子マーカー、行動観察のデータをまとめ、学会発表を行うと共に、論文化に取り組む。また、当初の予定通り捕食リスクが与える影響を明らかにするために実験を開始を行う。
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Research Products
(10 results)