2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00652
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横山 俊一 九州大学, 数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 楕円曲線 / 保型形式 / 局所体 / 数式処理 / Mordell-Weil群 / Eisenstein多項式 / Galois群 |
Research Abstract |
本研究課題において、申請者は計算機数論における「良いデータベースの生成と提供」を目的として、2種類の話題について研究を行った: 1、代数体上至る所良い還元を持つ楕円曲線のデータベース化:本研究は、現代数論において重要視されている「保型性」を観察することに動機を持ち、幾つかの重要な保型形式との対応が示唆されている。これにより具体的な計算例を組織的に得たデータベースの生成・提供が望まれている。今年は実二次体上至る所良い還元を持つ楕円曲線の存在・非存在を示した従来のデータベースを大幅に更新(23ケース)、更に基礎体を実三次体に引き上げた場合についても研究を行い、既存の Bertolini-Canutoによる1988年の結果(1ケースのみの非存在性)を大幅に更新した(18ケース)。またこの過程において、類数1の純三次体上至る所良い還元を持つ楕円曲線で非自明に構成されるものを初めて提唱した。本研究においては数式処理システムを併用し、Mordell-Weil群の計算を数式処理の道具を用いて高速実装することで、通常計算不可能な例を提示することに成功している。 2、局所体の高速生成アルゴリズムの作成とデータベース化:本研究は、局所体のGalois群の高速・効率計算を一つの目標として行われたものである。今年は局所体生成プログラムを高次の場合にも耐えうるよう改良を図った。具体的にはp進体上1)p次拡大,2)完全分岐アーベル拡大,3)低次アーベル拡大の3種類(但しPは奇素数)の拡大体の高速生成アルゴリズムとその実装を与えた。更に1)に関してはp次Eisenstein多項式が定義する拡大体の同型判定アルゴリズムを実装と共に与えた。これは従来広く用いられていたroot countingアルゴリズムを用いた場合と比較して大幅な高速化に成功している(吉田学氏との共同研究)。
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