2013 Fiscal Year Annual Research Report
実践的命題観の実現に向けてー「実在論的ミニマリズム」の観点からー
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12J00693
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大川 祐矢 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 命題 / 言語哲学 / 形式意味論 / 態度報告文 / 可能世界 |
Research Abstract |
昨年度も引き続き命題にかんする研究を行った。命題という概念は言語学の形式意味論や言語哲学などでしばしば用いられている概念であり、意味の分析において本質的なツールとして用いられている。しかしながら命題概念そのものの存在論的な身分については未だに統一的な見解は提案されておらず、目下議論の最中である。このように様々な分野で広く使われている概念が適切に定義されていない状況はあまり健全ではなく、報告者の研究課題はそうした状況を改善することを目したものである。 そうした命題概念について、昨年度は以下の二点にかんする研究を行った。一つは(i)命題の存在論的な身分についてであり、もう一つは(ii)命題が本質的な役割を果たすとされる態度報告文についてである。まず(i)についてであるが、命題の存在論的な身分については大きく分けて二つの立場がある。一つは命題をそれを表現する文が真とみなされる可能世界の集合として定義する可能世界説であり、もう一つは命題をそれを表現する文に含まれる言語的要素の意味値からなる構造としてとらえる構造説である。昨年度はこれら二つの説を検討、比較し、それぞれの長所と短所を明らかにすることを目指した。 次に(ii)態度報告文についてであるが、これについては態度報告文にかんする既存の分析を取り上げ、それがはらむ問題点として指摘されている事柄を整理した。そのうえで、そうした問題点が先の可能世界説と構造説のいずれをとっても維持されることを示し、根本的に分析をやり直す必要があることを確認した。 本年度はこうしたいくつかの論争について何らかのオリジナルなアイディアを形にすることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた現代哲学における命題の扱いについて、複数の観点から考察することができている。ただし、そこで発見されたいくつかの問題について、具体的な解決策を提案することは未だできていないため②とした。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的にはこれまで通り、関連するトピックについての先行研究を調査し、それらを比較・検討することを主軸とする。それに加え、今後はそうした検討で発見された問題点等について、具体的な解決案を提示することを目指す。
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Research Products
(1 results)