2012 Fiscal Year Annual Research Report
複数種ナノ結晶析出制御に基づいた透明結晶化ガラスの機能多元化
Project/Area Number |
12J00806
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
庄 逸熙 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 透明結晶化ガラス / 遷移金属 / 光機能性材料 / 赤色長残光 |
Research Abstract |
1.透明結晶化ガラスの機能多元化のテーマに基づき、Fe添加シリカ結晶化ガラスに関する研究を行った。 Fe2+の母体としてLi2ZnSiO4含有結晶化ガラスを用いることで、Feの配位子場制御により、Fe2+(VI)吸収を抑えられることを示した。Li2ZnSiO4結晶は、全てのカチオンが四面体サイトを占有するため、熱処理により結晶に導入されるFe2+の配位数が4となる。そのため、Fe2+(IV)の吸収が1600nmに移動し、結晶シリコン太陽電変換波長範囲の透過率が向上した(図1)。更に、ガラス組成に硝酸塩酸化剤を加えると、Fe2+(IV)がFe3+(IV)に酸化され、透過率がより増大した。加えて、酸化剤入りLi2ZnSiO4透明結晶化ガラスでは、Fe3+(IV)の高効率な375nm励起、700nm発光を観測した。このガラス材料を表面基板に用いれば、波長変換効果により、太陽電池の変換効率を向上する可能性も示した。 2.赤色長残光蛍光体および長残光結晶化ガラスに関する研究において、遷移金属Cr3+を発光中心とし、研究を行った。 遷移金属Cr3+が賦活したZnGa204スピンネル結晶が残光をあらわすことが既に分かっているが、実用化のためには、より高強度の長残光が求められる。我々は、Bi203共ドープにより、Cr3+の赤色長残光強度が10倍増強することが発見した(図2)。この現象のメカニズムを解明するために、ドーパントの種類、ホスト組成、及ぶ焼結雰囲気など条件を制御し、作製した試料について拡散スペクトル、発光・励起スペクトル、長残光放射輝度、熱ルミネッセンスなどの測定を行った。 長残光蛍光体の結晶粒子を、熱処理によりガラス中に析出させることができれば、長残光結晶化ガラスが得られる。これまで、赤色長残光結晶化ガラスに関する報告は未だなく、これが実現すれば、夜光材料など多岐にわたる応用可能性があると考える。今後長残光に関する研究は、蛍光体から結晶化ガラスへと展開させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、予想通りの実験結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
これから、計画の基本的なルートを変更しない限り、材料設計、測定方法などで、新たな考えを加え、予想された実験結果を超えるようにチャレンジする。
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Research Products
(3 results)