2012 Fiscal Year Annual Research Report
単層カーボンナノチューブへの分子内包方法の確立と新規物性の発現
Project/Area Number |
12J00852
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本田 光裕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 分子内包 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブへの分子内包方法装置を設計および作製し、パラニトロアニリン分子の単層カーボンナノチューブへの内包を試みた。単層カーボンナノチューブへパラニトロアニリン分子が内包されたことを透過型電子顕微鏡およびラマン分光測定により観察した。透過型電子顕微鏡測定では、得られた白黒の像のコントラストから試料の構造決定を行った。ラマン分光法による測定では、試料が単層カーボンナノチューブとパラニトロアニリンの二分子からなることを確認した。以上、これら二つの測定結果からパラニトロアニリン分子が単層カーボンナノチューブへ内包されたと判断した。 単層カーボンナノチューブは炭素原子のみから成る円筒状の物質であり、その直径は約1nmである。一方、パラニトロアニリン分子は直径の半分以下の大きさである。単層カーボンナノチューブへ内包する分子の大きさがその直径に較べて十分小さい時、分子は単層カーボンナノチューブへ内包されやすいと同時に、一度内包された分子が単層カーボンナノチューブ外部へ出て行きやすいことも意味する。そのような小さな分子を単層カーボンナノチューブ内部のみに留めておくことができたということは、これまで単層カーボンナノチューブ内部に留めておきにくいと考えられていた分子も内包することができる可能性を示唆し、応用研究の幅が大きく広がると考える。また、単層カーボンナノチューブ内部の完全な真空状態を利用し、分子同士の純粋な相互作用の観察を通じて基礎研究にも大きく貢献することができると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験条件が与える試料への影響が予想していた以上に大きく、実験条件の最適化に時間がかかっているため。分子内法における温度管理が特に重要な実験条件であることが分かった。また、実験装置の他実験室への移動も研究の進捗の遅れに繋がっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子内包実験における条件の最適化を行い、分子内包単層カーボンナノチューブを作製する。さらに、近接場ラマン分光測定および密度汎関数法による計算を行い、内包分子と単層カーボンナノチューブの相互作用を調査する。
|