2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J00866
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 徹平 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 伸縮性導体 / 耐環境性 / 複合材料 / 微細化 |
Research Abstract |
研究者は、ウェアラブルコンピュータやフレキシブルデバイスに向けて、銀フレークとポリウレタンの複合材料で7倍伸ばしても通電可能な伸縮性導体を開発した。「耐環境性を有する伸縮性導体の開発」は、他に研究報告はなく、伸縮性導体の実用化に向けて非常に重要になると考えている。今年度は、「研究実施計画」どおり、まずは伸縮性導体の基本特性を把握し、その後環境試験を行い、劣化挙動の把握をした。具体的には、伸縮性導体の機械的特性・電気的特性・時間応答性が、環境試験前後でどのように変化したかの評価を行った。次に、伸縮性導体の耐環境性や電気的特性などの性能を向上させるため、劣化防止剤の添加を行った。また、配線の微細化を行うため、ナノサイズの金属で伸縮性導体の作製を行った。また、伸縮性導体糸の作製方法も検討している。 伸縮性導体の基本特性に関して、銀フレーク/ポリウレタン伸縮性導体中の銀含有量を変化させて電気抵抗値の測定を行った。その際に、低い銀含有量の伸縮性導体(48vol%)は、延伸中に電気抵抗値が減少するという興味深い結果を得て、現象解明も行った。学会や雑誌論文での発表もしている。 今までに開発した伸縮性導体では、湿気による分解が懸念されたため、その懸念の少ない分子構造を持つポリウレタンを用いた伸縮性導体を作製し、さらにそのポリウレタンへ劣化防止剤を微量添加した伸縮性導体を作製した。これらの3種類のポリウレタンをベースにした伸縮性導体をそれぞれ高温高湿(85℃/85%Rm放置し、放置中の電気抵抗値、および放置後に伸長させて抵抗値を測定した。耐劣化防止剤を微量添加した伸縮性導体のみ、700時間放置しても電気特性が安定しており、耐環境性は向上している。しかし、伸長特性が失われており、現在、この原因を調査中であり、今後に改善を試みる。 伸縮性導体配線の微細化を検討するため、ナノサイズの金属材料の使用を検討した。銀ナノ粒子や銀ナノワイヤ使用した伸縮性導体の開発を行っている。銀ナノワイヤの合成では新たな結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画通り、開発を進めることができており、学会や論文などでも、成果発表をできている。さらに、伸縮性導体の微細化に向けて、銀ナノワイヤの化学合成でも新しい結果を得られており、当初の予定以上に研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き伸縮性導体の耐環境性や電気的特性などの性能を向上させる。試行錯誤を重ね、環境試験を行うため、この項目は長期間におよぶと推測される。次に、伸縮性を有する導電性糸の作製方法を確立するとともに、導電性糸の機械的特性や電気的特性の試験を行い、特性の評価を行う。導電性糸の作製目的は、伸縮性導体の微細化である。 現在、海外渡航している研究所に現存する全く新しい技術を用いて目的を達成する場合も視野に入れている。
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Research Products
(4 results)