2013 Fiscal Year Annual Research Report
古代湖琵琶湖に陸封された海浜植物の種内分化機構の解明
Project/Area Number |
12J00888
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大槻 達郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海浜植物 / 種内分化 / 古代湖 / 琵琶湖 / 生理的分化 |
Research Abstract |
琵琶湖は約400万年に形成された淡水湖であり、多くの海浜植物が生育する独自の生物相を形成している。それらは海岸集団との間に遺伝的・生理的な分化が報告されているため、陸封され異なる塩分環境下で生育する植物は地域に適応していることが期待される。このようにEcogeograhic isolation (Schemske 2000)をともなう種内分化は「種分化の初期」に起こる現象を解明するのに適した実験系である。そのため、本研究では交配・耐塩性・相互移植実験により分化を促進する生殖的・生態的要因を検証し、塩分環境の有無で応答が異なる形質を明らかにする。さらに、分子遺伝学的手法により生態的な分化に寄与する遺伝的背景を明らかにすることで、陸封された海浜植物の種内分化機構について総合的に検証することを目的とする。 ハマエンドウ(Lathyrus japonicus)は日本全国の海浜と琵琶湖湖岸に生育するマメ科レンリソウ属の多年生海浜植物である。昨年度申請者は湖岸・海浜ともに、自生地でないものの光合成速度が有意に小さくなることを明らかにした。引き続き本年度は、湖岸由来における耐塩性の低下がどのような仕組みで起こっているかを明らかにすべく、相互移植実験と耐塩性実験の結果をを合わせて解析した。その結果、海浜由来と比べ海浜環境下で、(1) Na^+を多く吸収してしまい(2) ABA濃度が上昇していること(3)気孔コンダクタンスが減少し、光合成速度が低下してしまったこと(4)成長量が低下してしまったことを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず、当初の予定以上の3本の論文をacceptした。相互移植実験が終了し、論文を投稿する段階である(予定通り)。RNA-seqのデータがそろそろ揃うので、淡水と塩水環境における海浜植物体内で発現する遺伝子の詳細を明らかにすることが期待できる(今後の研究に大きな発展が期待される)。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、当初の計画以上に進展しているため、今後も計画通りに研究を遂行する必要がある。
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Research Products
(8 results)