2012 Fiscal Year Annual Research Report
主観的整合機構に基づくマルチモーダル発達メカニズムの構成と理解
Project/Area Number |
12J00925
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹本 勇輝 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マルチモーダル / 認知発達ロボティクス / ロボットプラットフォーム / 主観的整合性 |
Research Abstract |
我々人は,様々な感覚や運動を駆使し,状況に応じて適切に自身の行動を決定しているが,これがどのようなメカニズムによって学習発達可能かは定かではない.本研究では,構成的手法により,主観的整合機構に基づくマルチモーダル情報の統合メカニズムを構成し,この過程の理解を目的としている.これに対し,本年度は,基本的なメカニズムの構成とシミュレーションでの有効性検証(A),さらに,メカニズムの実世界での検証を可能にするロボットプラットフォームの開発に着手した(B). (A)外界からのマルチモーダルな感覚運動刺激を現状での自身の信念によって統合し,学習に利用する主観的整合機構を構成し,その有効性を乳児と同様の環境を想定した計算機シミュレーションにより確認した.シミュレーションでは,発達心理学の分野で報告されている乳児に応じる養育者の行動(模倣や教示の割合)を計算機上に再現して実験を行った.しかしながら,乳児が実際に観測するマルチモーダルな感覚運動刺激を計算機上で完全に再現することは困難であるので,構成したメカニズムの有効性を実世界で検証する必要がある. (B)そこで,実世界での検証を可能にするための実ロボットの開発に取り組んだ.想定しているマルチモーダルな感覚運動は,視覚,聴覚,調音運動であるので,それらを観測可能なロボットの実現を目指した.乳児の解剖生理学的な報告をもとに,それと同様の調音器官を構成し,乳児と同様の調音運動が可能なロボットを構築した.ロボットの発声性能を評価した実験により,ロボットが構造的には乳児と同様の発声が可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,マルチモーダル発達メカニズムの構成的理解を目指している.本年度は,そのメカニズムを構成し,計算機シミュレーションにより構成したメカニズムの有効性を確認した.その成果は,ロボット系の学術雑誌で報告しており,期待通りに研究が進展したと言える.今後は実世界での検証が必要であるが,その準備も進めており,検証で使用するためのロボットの開発にも着手している.その成果は,既に国内外の研究会で報告している.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は,基本的なメカニズムの構成とシミュレーションでの有効性検証,メカニズムの実世界での検証を可能にするロボットプラットフォームの開発に着手した.これを踏まえて,今後(次年度)は,開発途中であるロボットプラットフォームを改良し(I),さらに,それを用いて,構成したメカニズムの有効性を実世界で検証すること(II)が必要である.具体的に(I)では,現状のロボットに,人の発声時と同様の機構(自由度構成やアクチュエーション)を実装し,運動制御的に乳児と同様の発声が可能となるよう改良する.(II)では,これまでの研究で構成したメカニズムをロボットに実装する.そして,マルチモーダルな感覚運動学習が必要であるタスクを想定した学習実験を実施することで,構成したメカニズムの有効性を実世界で検証する.
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Research Products
(4 results)