2012 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質内部空間への金属錯体の導入による新規触媒反応の開発
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12J00928
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福本 和貴 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質反応場 / ロジウム錯体 / 重合反応 / 立体選択性 / ニトロバインディン / フェニルアセチレン |
Research Abstract |
立体選択的な反応のための合成金属触媒の開発には配位子の精密設計が不可欠であったが、近年、合成金属触媒をタンパク質内部空間に導入した"人工生体触媒"が注目されている。この人工生体触媒では、タンパク質を3次元の優れた化学反応場として扱うことで、反応の立体選択性を実現することが可能となる。しかし、立体選択的な炭素一水素結合の活性化や炭素一炭素結合の形成などのより魅力的で困難な触媒反応を実現した人工生体触媒は殆ど無い。そこで本申請者は、昨年度までにユニークなタンパク質空孔を有するニトロバインディンを用いて、約50%のトランス体ポリフェニルアセチレンを得ることに成功しており、タンパク質が反応の立体選択性に影響を及ぼすことを示した。 そこで本年度は、トランス選択性の向上を目指し、人工生体触媒の内部空間の再構築を試みた。 まずニトロバインディンをさらに最適な反応場として設計するため、MD計算を実施した。そして、得られたMD計算結果と想定される反応機構に基づいて、ニトロバインディンの内部空間を再びデザインした。設計した種々のニトロバインディン変異体にアフィニティタグを導入し、簡便に精製できるような工夫を行なった。さらに得られた変異体に対してロジウム錯体を導入した人工生体触媒を用いてフェニルアセチレンに対する重合反応活性を評価した。結果として、65%のトランス体を生み出す第二世代の人工生体触媒の構築に成功した。そして、よりファインなチューニングを行なうために、第二世代の人工生体触媒の結晶化を達成し、現在はその結晶構造解析について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた人工生体触媒の構造解析までは到達することができなかったため。しかし、現在その結晶化には成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、人工生体触媒の結晶化を達成していることから、今後はその結晶構造解析を行い、金属錯体を含んだタンパク質の構造を明らかとする。そして、結晶構造に基づいて、重合反応におけるトランス選択性を向上させるためのタンパク質内部空間のよりファインなチューニングを実施する。
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Research Products
(7 results)