2012 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥キャラクタリゼーションによる新規蓄光材料の開発
Project/Area Number |
12J00943
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片山 裕美子 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 残光蛍光体 / プラセオジム / 光電流 |
Research Abstract |
平成24年度は、欠陥キャラクタリゼーションによる新規蓄光材料の開発に向けて、(Ca,Sr)TiO3:Prを作製し、この系についてエネルギー移動機構に関する物性評価を行った。 蛍光体母体組成をCaTiO3からSrTiO3へと変化させることにより、発光中心と母体伝導帯とのエネルギー位置関係の制御を試みた。CaサイトをSrに置換し、(Ca1-xSrx)0.998Pr3+0.002TiO3(x=0,0.3,0.5,0.8,1)を固相法により作製した。得られた試料について、X線回折(XRD)測定による構造解析、発光・励起(PL・PLE)スペクトル測定、残光減衰曲線、熱ルミネッセンス(TL)測定に加え、光電流励起スペクトル(PCE)測定を行った。PL・PLEスペクトルより、母体組成をCaTiO3からSrTiO3へと変化させることにより、Pr3+:3PJ準位から発光開始準位ID2への熱活性化エネルギーは単調に増加することが示された。また、試料のバンドギャップは単調減少、IVCTエネルギーはほぼ単調に増加することが明らかとなった。 室温における残光時間は、試料組成のSr置換量xが増加するとともに減少した。同時に、熱ルミネッセンス測定によるグローカーブピーク温度もほぼ単調に低下した。これにより、Sr置換量の増加と共に蓄光に寄与するトラップ深さは単調減少することが示された。以上の結果より、SrTiO3中では、Pr3+:3PJ準位励起の時、1D2準位への熱活性化エネルギーおよび伝導帯への熱イオン化エネルギーは高く、室温では共に起こらないが、Ca置換量が多い母体中では、1D2への熱緩和エネルギー、伝導帯への熱イオン化エネルギー共に室温で十分に起こるほど小さくなり、強い1D2発光と残光性を発現していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究遂行期間は出産・育児のため、6カ月となったが、「欠陥キャラクタリゼーションによる新規蓄光材料の開発」のテーマに取り組み、大きな成果を得ることができた。当該年度は、残光蛍光体のメカニズムについて光伝導度測定から考察し、「(Ca,Sr)TiO3:Pr3+における原子価間電荷移動と光電子物性」というタイトルで国内学会であるThe 23rd Meeting on Glasses for Photonics(京都,1/30,2013)において口頭発表をおこなった。さらに平成25年度6月には国際学会10th Pacific Rim Conference on Ceramic and Glass Technology(PACRIM10),(San Diego, Jun. 2-7,2013)において口頭発表をおこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
残光特性を向上させるため、組成選定によるトラップ深さの調整をおこなう。具体的には、Caサイトをより小さなMgなどで置換する。作製した試料について、研究計画に基づき光学特性を評価することにより、新規蓄光材料の創製を目指す。
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Research Products
(7 results)