2012 Fiscal Year Annual Research Report
位相欠陥をもつ非線形系のエントロピー生成を用いた乱流の自己組織化に関する研究
Project/Area Number |
12J01010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川面 洋平 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 渦構造 / 傾圧効果 / 熱的乱流駆動 / 相対論相対論傾圧効果 |
Research Abstract |
本研究ではプラズマ中に生じる渦構造について傾圧効果に主眼をおいて解析を行なった.まず[S.Mahajan and Z.Yoshida, Phys. Rev. Lett. (2010)]が指摘したように理想流体/プラズマには熱的効果による傾圧効果(∇T×∇s)と相対論効果による傾圧効果(∇γ^<-1>×∇s)が存在し,これらによって渦構造が生成されると考えることができる.前者は熱的非平衡性が強いとき,後者は熱的平衡に近いときに顕著であることが予想される.まず前者の例としてトカマク実験装置内におけるドリフト波乱流について傾圧効果を含んだ新たな方程式を導出した.先行研究と異なり温度の勾配長と密度の勾配長の2つをパラメタとし,この2つのパラメタに依存して帯状流が生じるか否かが変わることを発見した.さらに,境界から乱流によってエネルギーが流入出するように境界条件を変化させ,熱的乱流駆動条件をモデル化したシミュレーションを行った-この拡張により境界から注入されたエネルギーから傾圧効果を通してマクロな渦構造へのエネルギー変換が起きていることを現象論的に証明した.以上の結果は核融合エネルギー開発におけるプラズマ制御技術に応用出来る知見を与えると考えられる.次に相対論相対論的な傾圧効果の対象として初期宇宙における渦形成の数値計算を行なった.初期宇宙のパラメータ領域では衝撃波付近による熱的傾圧効果よりも相対論傾圧効果が卓越することを確認し,傾圧効果による渦生成は空間的に大きな構造を持つことが分かった.初期宇宙現象の模擬実験をめざすレーザー・プラズマ実験を想定したパラメタについてもシミュレーションを行い,現状のいくつかの実験パラメータでは未だ相対論的傾圧効果が現れるには不十分であるが,プラズマの温度等いくつかのパラメータを向上させることが出来れば相対論的傾圧効果が有意に現れてくることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったプラズマ中の自己組織化現象について,以前提唱した熱力学モデル[Z. Yoshida and S. Mahajan, Phys Plasmas(2008)]と,具体的なプラズマのメカニズムを結びつける作業(シミュレーションコードの作成等)はほぼ完成している.しかし実際にエントロピー生成率を測り,その分岐を考察することが未だ出来ていない.
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Strategy for Future Research Activity |
作成したシミュレーションコードを用いて熱的に駆動されたプラズマ乱流のエントロピー生成を測定する.また相対論傾圧効果については実際の実験測定への提言として相対論効果によって特徴的に現れる磁場構造の同定を行う予定である.
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Research Products
(7 results)