2012 Fiscal Year Annual Research Report
武力紛争はいかに越境するか-隣接する二国、リベリア・シエラレオネからの考察-
Project/Area Number |
12J01033
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 英之 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アフリカ / シエラレオネ / リベリア / 武力紛争 / 内戦 / 新家産制国家 / 越境 |
Research Abstract |
<研究の目的> 本研究では、1990年代以降にサブ・サハラ・アフリカ(以降、「アフリカ」と表記)でなぜ武力紛争が頻発したのかを明らかにすることを目的として、西アフリカに位置する隣り合う二国(リベリアとシエラレオネ)で見られた国境を越えた紛争の動態の解明を試みている。アフリカではいくつかの地域では、一国の紛争が隣国の紛争を誘発するというプロセスを繰り返すことで紛争が拡散している。こうした地域では、複数の紛争が影響を与えあうことで紛争が長期化・大規模化した。その背景には、国境を越えた戦闘員の移動や国境を越えた武装勢力同士の協力関係、複数の国にまたがる流通ネットワークの形成がある。報告者は、現地調査により、戦闘員はなぜ国境を越えて他国の武装勢力に参加するのか、また、国境を越えた武装勢力問の協力関係はいかに形成されるのかを明らかにすることを試みている。 <研究成果> 本年度の研究成果は、二つに大別できる。 第一に、研究大会やシンポジウム、研究会における口頭発表である。今年度は5本の口頭発表を行っている。それぞれについては以下を参照のこと。 第二に、博士論文として、シエラレオネの政府系勢力カマジョー/CDFの形成プロセスと、そこに関わるリベリアからの影響をまとめたことである。博士論文のタイトルは『人脈ネットワークとしての武装勢カーシエラレオネ内戦におけるカマジョー/CDFの生成と変容に関する研究一』であり、大阪大学大学虎人間科学研究科に提出した。この博士論文では、シエラレオネ内戦の政府系勢力カマジョー/CDFがいかに形成され、変容し、解体されたかを記述した。本研究では、シエラレオネとリベリアという二国がいかに影響を与え合っているのかを分析しているが、この博士論文は、そのうちのシエラレオネに焦点を当てた作業の成果といえる。博士論文という性質のものであるため、国会図書館と大学図書館に収蔵される以外は未発表である。今後、この研究成果は単著として発表したく、目下、出版社および出版助成を探している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は補助金を受ける前から積み重ねたシエラレオネ内戦についての研究の成果をまとめる年となった。 本年度は数多くの研究成果を発表した。6本の口頭発表を行った他に、昨年度まで在籍していた大阪大学大学院人間科学研究科へと博士論文を提出し、博士号を取得している。博士論文の成果は、本研究課題の一部としてシエラレオネ内戦について取り組んだものである。また、9月にはリベリアでの現地調査も実施している。これにてシエラレオネに関する調査は一段落をし、来年度以降はリベリアでの調査に専念するつもりである。調査の一部(シエラレオネでの調査)を順調に終了し、成果を出したという点においておおむね順調に進展したと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
調査に関しては、来年度以降リベリア内戦についての調査に本格的に取り組むことになる。 一方、研究内容の発信については、今年度は執筆した研究成果がないという問題点がある。ただし、口頭発表を通じていくつかの研究内容が精錬され、論文としての考察もまとまってきた。来年度は、それらを執筆された研究成果として公表する予定である。
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Research Products
(6 results)