2013 Fiscal Year Annual Research Report
武力紛争はいかに越境するか-隣接する二国、リベリア・シエラレオネからの考察-
Project/Area Number |
12J01033
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 英之 大阪大学, 国際公共政策研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 武力紛争 / シエラレオネ / リベリア / 西アフリカ / 越境 |
Research Abstract |
本研究では三年間を通して、国境を越えた武力紛争のメカニズムを明らかにしようというものである。西アフリカの隣接する二国、シエラレオネとリベリアを事例とすることで、いかに武力紛争は国境を越えて広がっていくのかを明らかにしようとしている。二年目である本年度(平成25年度)は、昨年度までの作業を踏まえた研究を行っている。すなわち、昨年度に調査で得たデータをまとめたり、昨年度に十分に得られなかったデータを現地調査で得てきたりした。 本年度の研究実績については以下の通りである。第一に、アフリカの武力紛争の動向についてマクロな分析を行った。その成果は、日本アフリカ学会第50回学術大会にて発表している。また、論文としてまとめ上げて雑誌『アフリカ研究』に投稿した(現在は査読結果待ちである)。 第二に、シエラレオネで得たデータをまとめなおした。その成果は、日本文化人類学会第47回研究大会、および、国際人類学・民族科学連合第17回世界大会で発表した。いずれもシエラレオネの武装勢力がいかに戦闘員を動員したのかを検討したものであり、それぞれ昨年度に入手したデータをもとにまとめなおしたものである。 第三に、11~12月にかけて現地調査を行った。約20日間にわたるシエラレオネの調査ではかつて難民キャンプのあったウォータールー市で調査をおこなった。また、その後、リベリアに渡り、一週間ほどシエラレオネ人が住んでいた難民キャンプやその周辺で調査を行った。 以上の作業から研究は概ね順調に進んでいると言える。まず、アフリカにおける武力紛争の特性についての分析を、国境に注目してして行った。その作業によりシエラレオネ・リベリアの事例がアフリカの紛争を論じる上でどのような意味を持つのかを浮き彫りにすることができた。次に、本年度の調査では、内戦の頃の戦闘員の経験や武装勢力支配地域に住む住民の経験を明らかにしており、事例の調査も順調に進んでいる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
説明モデルの構築という机上の作業も、現地調査からシエラレオネ・リベリアで起きたことを明らかにする作業も着々と進んでいるからである。本研究計画では、最終的に、シエラレオネ・リベリアで起こった事例を基に、アフリカの武力紛争で一般に見られる事象を説明モデルとして導き出すことになる。その説明モデルの構築も一段落した。シエラレオネ内戦の経過を明らかにするという作業も終了している。今後は、これまで得てきたリベリア内戦のデータをもとに、さらにりベリアにて起こった出来事について調査する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、リベリア内戦についての調査に重点を置くことになる。また、新たに内戦後の動向を研究計画に織り込むつもりである。本研究は、内戦の展開を中心に考察をしているが、内戦にかかわった人々の内戦後の動向も含めて論じる必要がある。なぜなら、それは内戦がなぜ収束しえたのか(再発しなかったのか)を論じる手掛かりとなるからである。また、これまでの調査の中で内戦後の人々の生活や武装勢力に参加していた入々のその後の身の振り方についても調査している。ゆえに、今後は内戦後に内戦に関わっていた人がいかに武装勢力から脱却し、別の形で生計を立てるようになったのかをも含めて調査を行っていく。
|
Research Products
(4 results)