2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01044
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西村 和帆 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 核小体 / 癌化 / 細胞老化 / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞傷害ストレスは細胞の老化や癌化を引き起こすことによって種々の疾患の原因となる。私は、ストレスがどのように細胞内で感知・統合され、細胞の運命を決定していくのかということに興味を持ち、『核小体』という核内構造体に注目した。核小体では、未成熟なリボソームRNA(rRNA)を転写し、それをプロセシングすることにより成熟したrRNAを合成している。核小体は膜構造を持たず、rRNAの転写量とそれをプロセシングする速度によって、サイズが決まっている。 昨年度までの研究から、「栄養飢餓や紫外線などのストレスがrRNA転写を阻害することで核小体サイズを『縮小』させ、細胞死を誘導すること」を明らかにしている。これに対し、「癌遺伝子の活性化(癌化ストレス)や細胞分裂によるエラーの蓄積(複製ストレス)はrRNA転写を亢進、もしくはrRNAプロセシングを阻害することで核小体サイズを『肥大化』させ、細胞老化を誘導すること」を明らかにした。そこで、本年度は、ストレスと核小体、および細胞の運命決定の統合的理解を目的として研究を進めた。 解析の結果、核小体が縮小するストレス時にはMYBBP1Aという核小体タンパク質が核質へと移行し、p53のアセチル化を増強させ、p53を強く活性化させることを明らかにした。一方、核小体が肥大化するストレス時には、リボソームタンパク質であるRPL11がp53の分解を抑制することで、非アセチル化状態のp53が蓄積することを明らかにした。加えて、核小体縮小時と核小体肥大化時に認められたアセチル化状態の違いが、p53の転写活性を変化させ、細胞の運命決定に関わることを見出した。これらの結果は、核小体がストレスセンサーとして機能することでp53の活性を制御し、ストレス時の細胞の運命決定に働くことを示唆している。さらに、上記結果を応用することで、細胞の運命を細胞老化から細胞死に切り替え、老化細胞を除去する化合物の合成を進めた。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)