2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
トゥリン カーンデュイ 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 一般ディリクレ級数 / ベシコビッチ概周期関数 / 値分布 / 極限分布 |
Research Abstract |
ベシコビッチ概周期関数、ディリクレ級数とそれらの間の関係について調べた。 (1)ベシコビッチ概周期関数について。概周期関数の理論はボーアによって創成された(1925)。その理論で扱われる(一様またはボーア)概周期関数とは実数線上の関数で、その関数に一様収束する三角多項式の列が存在するようなものである。ボーアの理論を拡張する方法はいくつかある。そのうちの一つ、一様収束ではなくベシコビッチノルムで収束を考えるのがベシコビッチ概周期関数である。すなわち、ベシコビッチ概周期関数とはその関数にベシコビッチノルムで収束する三角多項式の列が存在するようなものである。概周期関数の様々性質のうちの三つ、平均値と極限分布とフーリエ級数展開について注目する。 (2)一般ディリクレ級数について。一般ディリクレ級数の値分布を考える。ある複素平面の右半平面でこの級数が絶対収束する場合を考える。このとき、級数の和は絶対収束半平面上の正則関数となる。さらに、この関数は解析接続されて、もっと広い半平面上の有理型関数になることを仮定する。このとき、あるゆるい条件の下でこの関数は複素半平面の各縦線上でベシコビッチ概周期関数である。従って、平均値と極限分布を持っている。そこで問題はその極限分布を特定することである。一般ディリクレ級数の値分布に関してはLaurincikasたちが一連の論文を書いた。しかし、彼らの論文では特別な場合のみ極限分布を特定することができた。私はこの限界を改善し、証明の方法も簡単にすることができた。これらの結果は論文"Remarks on value distributions of general Dirichlet series"にまとめた。 (3)前項(2)に動機を得て、ディリクレ列をスペクトルとするようなベシコビッチ概周期関数を研究し、フーリエ級数のノルムでの収束と概収束に関する結果を得た。これらの結果は古典的フーリエ級数の収束に関する定理の拡張である。それらを"Carleson's theorem for general Dirichlet series"と"On convergence of Fourie series of Besicovitch almost periodic functions"の論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果が二編の論文に出版されたので、順調な進展ということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、一般ディリクレ級数の研究を進める。新たにランダム行列の研究に挑戦する予定である。
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