2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01099
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
縄田 紀夫 千葉大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Stably projectionless C*-環 / Picard群 / 基本群 |
Research Abstract |
本年度は,単純stably projectionless C*-環の研究を中心に行った.Stably prolectionless C*-環とは無限次元可分なヒルベルト空間上のコンパクト作用素全体のなすC*-環とのテンソル積をとっても零元以外に射影を持たないC*-環である.特にこのC*-環は単位元をもたないC*-環である.作用素環論の研究では射影が重要な役割を果たしてきた.そのために単純stably prolectionless C*-環の構造や分類理論に対してはよくわかっていないことが多く未開拓な対象である. 私は,stably projectionless, exact, almost stable rank one, strict comarisonという性質を満たす唯一つのトレイス状態を持つ単純C*-環のPicard群は外部自己同型群と基本群の短完全列で表されることを示した.この研究成果は小高による単位元のあるC*-環のPicard群の研究の自然な一般化であるが,単純stably prolectionless C*-環の方が単位元を持ったC*-環よりもPicard群に関してはよい振る舞いをすることがわかった. 松井と佐藤によって単位元を持つ可分な核型無限次元単純C*-環でトレイス状態の空間が有限個の端点しか持たない場合には,strict comparisonという性質がJiang-Su環を吸収するという性質を導くということが示された.私は,Kirchbergによって提唱された中心列C*-環を用いることによって松井と佐藤の議論が単位元を持たないこのクラスのC*-環に対しても成り立つことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広いクラスの単純stably projectionless C*-環のPicard群を決定することができ,松井と佐藤による定理もstably projectionless C*-環を含む形で一般化することができたので今年度の研究目標を達成することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
単純stably projectionless C*-環のトレイススケーリング作用の研究を中心に考える.特にクンツ環と関連して重要である単純stably projectionless C*-環のトレイススケーリング作用の分類を目標とする.
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