2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本帝国崩壊後の樺太植民地社会の変容解体過程の研究
Project/Area Number |
12J01188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中山 大将 北海道大学, スラブ研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | サハリン / 樺太 / 植民地 / 人口移動 / 引揚 / 帰国 / 残留 / 移民 |
Research Abstract |
<研究の目的> ・日本帝国が南樺太地域に形成した樺太植民地社会の、帝国崩壊後における変容解体過程を明らかにすること。 <24年度の研究の概要> ・重点項目は「樺太引揚者の内地化過程」であったが、サハリン残留日本人に関する資料(名簿や外交文書)を発見できたため、それらを整理しサハリン残留日本人の実像を明らかにするとともに、成果を国内外の学会・シンポジウムなどで報告した。 <資料調査> ・外交史料館において、サハリン残留日本人冷戦期帰国者に関する資料の収集を行った。 ・京都大学フィールド科学教育センターにおいて、旧京都帝国大学樺太演習林関連資料の閲覧・複写を行った。 ・全国樺太連盟(樺太引揚者団体)東京本部において、樺太引揚者に関する資料の収集を行った。 ・日本サハリン同胞交流協会東京本部において、サハリン残留日本人帰国者に関する資料の収集を行った。 ・中華民国中央研究院近代史研究所棺案館において、在樺太(サハリン)華僑華人に関する資料の収集を行った。 <フィールドワーク> ・サハリン残留日本人団体(ロシア連邦サハリン州)、サハリン残留韓人帰国者団体(大韓民国安山市)、サハリン残留帰国者団体(東京都・北海道)において、インタビュー調査および各行事の参与観察などを行った。 <国外研究者との交流> ・韓国国家記録院の韓恵仁氏およびとThe XII International Scientific Meeting on Border Regions in Transitionの場で知己を得て、韓国・ロシアにおける当該分野の研究・資料状況の情報を得た。 <成果発表> ・学会誌『農業史研究』(第47号)において、引揚後の元・樺太庁中央試験所スタッフの動向について論じた論文を発表した。 ・三つの国際学術会議の場で、樺太・サハリンにおける戦後の人口移動に関する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)サハリン残留日本人冷戦帰国者に関しては、その名簿やインフォーマントへのアクセスが極めて困難(所在不明)と考えられていたが、本研究の調査によってアクセスが可能となり、また分析を行うことができた。 (2)本研究の成果報告という形で参加した国際学会等で、関係国である韓国・ロシア両国の研究者と交流することで、情報交換ができ、これまで不明であった部分や推測しかできなかった部分が確信へと変わった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)24年度の研究によりこれまで人数以外は不明であった冷戦期帰国者の実像を明らかにできる研究資料へアクセスすることができた。今後はこの資料分析を進め、論文執筆などを進める。 (2)後回しになった「樺太引揚者の内地化過程」に関しては、引き続き関連資料の収集に努める。 (3)また第2年度後半から第3(最終)年度にかけて韓国語・ロシア語の研究・史料の収集・分析を本格化させるために、第2年度前半からその準備作業を行う。
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Research Products
(8 results)