2013 Fiscal Year Annual Research Report
ガスハイドレートにおける分子進化-反応場としてのクラスレート構造の役割と可能性-
Project/Area Number |
12J01209
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 基 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガスハイドレート / 水素原子移動 / HOCOラジカル / メチルラジカル / 電子スピン共鳴(ESR)法 / 放射線照射 / 分子進化 / ラジカル反応 |
Research Abstract |
ラジカルを安定に補足できるガスハイドレート(CO2ハイドレート, CO2+CH4混合ガスハイドレート)をラジカルの反応場として利用することで, HOCOラジカルとメチルラジカルの生成機構, 及び水分子(ホスト分子)で形成されたカゴを跨いで起こるゲスト種(CO2, CH4)やラジカル(HOCOラジカル, メチルラジカルなど)間で起こる水素原子移動を通したラジカル反応について調査を行った. 昨年度の研究成果であるCO2ハイドレート内部に誘起されたHOCOラジカルの生成, 減衰機構(HOCO-CO2間での水素原子移動によるラジカルの拡散など)について, 国際雑誌であるPhys. Chem. Chem. Physに公開された. 照射されたCO2+CH4混合ガスハイドレートの試料では, 単成分系と混合系のラジカルの生成量を比較した結果, 混合系はより多くのHOCOラジカルとメチルラジカルが相乗的に生成され, ラジカル生成の元となるゲスト分子(CO2, CH4)の組成が小さくなるほどより効果的にラジカルに転換されることがわかった. 混合系のラジカルの生成量の増加は, CO2とCH4とH20が同じマトリクス内部にnanoスケールで隣接して存在することで, 電子, プロトン, OHラジカルなどをより有効にゲスト分子由来のラジカル生成に取り込むことで起きていることが予想される. また, 混合系のラジカル種は単成分系よりも熱的に安定化することがわかった. 混合系のラジカル種の熱安定性は, 異なるゲスト分子やラジカル種が結晶内部に混在する貯め, 水素原子の移動(ラジカルの拡散)を阻害することで起こることが予想される. また, HOCOラジカルの減衰過程から, 150-160K付近を境に, HOCOラジカルの水素原子が水分子のカゴを通る時の活性化バリアが変化する予察的な結果を得ることができた. 本研究の結果の一部は, ガスハイドレートだけでなく他のマトリクス(気相や氷表面など)にも適応できることが予想され, 惑星大気の形成や星間分子雲における分子進化の研究への応用が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)