2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製と共役した姉妹染色体接着の分子機構の解析
Project/Area Number |
12J01240
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東 寅彦 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コヒーシン / 姉妹染色体接着 / XEco2 / アセチル化 / Sororin / DNA複製 / ツメガエル卵抽出液 / Smc3 |
Research Abstract |
コヒーシンによる姉妹染色体の接着はDNA複製の間でのみ成立する。したがって、姉妹染色体接着はDNA複製と協調して成立すると考えられており、私はツメガエル卵抽出液を用いてこの分子機構を明らかにすることを目指している。接着成立の過程にはアセチル基転移酵素XEco2によるコヒーシンSmc3のアセチル化修飾が必要である。一方、DNA複製の過程ではコヒーシン-DNA間の相互作用が強固になり、そこにはSororinタンパク質のコヒーシンへの結合が必要であることが近年報告された。また、興味深いことに、Sororinのコヒーシン結合にはXEco2の機能が必要であることから、XEco2はDNA複製と共役したSororinのコヒーシン結合およびコヒーシンの安定的な相互作用に重要な制御因子であることが想像される。これまで、XEco2によるSmc3のアセチル化の制御を調べてきたところ、XEco2はDNA複製が行われる前にSmc3をアセチル化することがわかった。しかし、Sororinのコヒーシン結合やコヒーシンの安定化は依然としてDNA複製に依存していたことから、DNA複製前のSrnc3アセチル化だけではSororinのコヒーシン結合が引き起こせないと言える。さらに、XEco2タンパク内の特定の保存領域を削ったところ、Smc3のアセチル化レベルには影響がないもののSororinのコヒーシン結合が大きく減少することがわかった。これらの結果はSororinのコヒーシン結合を制御する過程においてSmc3アセチル化以外の反応が必要であることを示唆しており、DNA複製と共役した姉妹染色体接着機構を理解する上で重要な反応であると予想している。私はこの未知の反応としてSmc3以外のアセチル化修飾が関与しているのではないかと考えており、現在XEco2のアセチル化ターゲットを網羅的に解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
XEco2の相互作用因子の同定の際、ヌクレアーゼを用いて染色体上からXEco2を解離させる条件がうまく定まらず、したがって相互作用因子の同定が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで用いてきた精子核染色体では上述の通りDNA上での相互作用因子の同定が困難であると考えられるので、プラスミドDNAとツメガエル卵抽出液を組み合わせた実験系を利用して、DNA上の因子をネクレアーゼでうまく解離させ、相互作用因子の同定を進めたいと考えている。また、DNA複製と共役した反応に関わる新規アセチル化修飾をツメガエル卵抽出液とアセチルCoAアナログ(4-pentynoy1CoA)を利用して同定したいと考えている。新規アセチル化修飾が見いだせれば、アセチル化抗体およびターゲットの変異タンパク質を作成し、アセチル化の制御と役割を解析したいと考えている。
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Research Products
(2 results)