2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J01252
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯淺 亘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | 結び目理論 / 安定交換子長 / 写像類群 / ゴールドマンリー代数 / ジョンソン準同型 / リーマン面 |
Research Abstract |
研究課題にある安定交換子長について、研究集会に参加し他の研究者の安定交換子長の研究に対する動機や意味付けを知った。安定交換子長の研究はD.Calegariが中心的に研究を行なっている。彼の話を聞くことで、その動機が三次元多様体の最も重要な問題であったバーチャルハーケン予想と深く関係しているであろう事がわかった。現在、この予想は別の手法により解決されている。結び目や安定交換子長に関係のある研究者の話を聴き、研究課題にある結び目の不変量と明白な関係のある該当研究は無いであろうということもわかった。また、安定交換子長をノルムとして扱う研究はいくつか存在するが、結び目不変量として扱う研究は無く重要な研究であると思われる。しかし、関連する研究が少ない事や不変量の計算に必要な擬準同型写像の構成が難しく研究自体の具体的進展はまだない。しかし、組み紐群に入る順序を用いることにより構成された擬準同型写像が計算出来そうなので、その擬準同型写像をうまく利用して計算を進めることが今後の研究のひとつの指針となると考えている。 もう一つの曲面の写像類群の擬準同型写像の研究は近年N.Monden、M.Satoらによって擬準同型写像の構成が行われた。この研究により安定交換子長の曲面の種数に依存する明示的な評価式も得られ、写像類群の元で安定交換子長の値が求まる例も見つかっている。写像類群の安定交換子長の研究についてはさらに良い他の手法を考えることが出来ていない。この研究を行う中で研究課題とは異なるが、超楕円的写像類群の超楕円的Goldman Lie代数を用いた研究が進められそうだという感触を得たので、こちらの研究も並行して進めていく予定である。また、それに関係して超楕円的トレリ群に関係する研究集会で発表を行い、写像類群に関係する研究者と有意義な議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題に関連する分野が自身の専門分野から当初想定していた以上に離れていた。そのため、研究遂行に必要な知識修得に時間が掛かっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題について、研究遂行に必要な知識が当初想定していた以上に多いことがわかった。そのため、知識の習得を中心に専門家の意見を積極的に聞いて研究を進めていく予定である。また、本研究の複線として考えていた写像類群の研究において、研究を進めている過程でリー双代数を通した写像類群の研究で成果を出すことが出来ると判断した。今後はこちらの研究にも重点を置いていく予定である。
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Research Products
(4 results)