2012 Fiscal Year Annual Research Report
面不斉金属錯体を用いた新規アリル位置換反応の開発とその応用
Project/Area Number |
12J01261
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神林 直哉 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ルテニウム / 面不斉 / 不斉合成 / アリル位置換反応 |
Research Abstract |
近年、有機合成化学の発展に伴い、化合物の構造を厳密に制御する1精密合成」が注目されている。その中でも、有機金属錯体を用いた立体選択的な有機合成反応の開発は盛んに行われている。最近、私達は新しいタイプの不斉錯体として面不斉シクロペンタジエコルールテニウム(Cp'Ru)錯体の合成し、不斉アリル位置換に対して選択性を示すことを報告している。今年度は、面不斉Cp'Ru錯体を触媒とする高立体選択的な分子変換反応に注目し、新規の不斉反応開発及び、それらを素反応とする高立体選択的な高分子合成反応の開発を行った。まず、Cp'Ru触媒を用いた新たな反応系の開発を目指し、Auto-Tandem反応に注目した。Auto-Tandem反応は本質的に異なる複数の反応を単一の触媒により連続的に進行させる反応系であり、効率的な合成には極めて重要である。しかし、二つの反応を一つの触媒で同時に制御することは難しく報告例は少ない。不斉アリル位アミド化反応と原子移動型ラジカル環化(ATRC)を組み合わせたAuto-Tandem反応の開発を行った。その結果、求核剤としてα-ハロアミドを求核剤として用いることで、高選択的に反応が進行し、光学活性なγ-ラクタムを得ることに成功した。これはAuto-Tandem反応を不斉化した初めての例である。次に、Cp'Ru触媒を用いた不斉アリル位置換反応の高い反応性及び高い立体選択性に注目し、不斉アリル位アミド化反応を不斉重合反応に展開することで、不斉炭素を主鎖に持つ光学活性高分子の合成について検討を行った。モノマーとして、分子内にアミド及び塩化アリル部位を持つ二官能性モノマーを合成し、反応を行った所、重合が進行し高分子量のポリアミドを得ることができた。得られた高分子を1H-NMR及びUV/CD測定を行った所、本重合反応は非常に高い立体選択性で進行していることがわかった。このことから、面不性Cp'Ru触媒が重合中でも効率的に不斉環境を構築していることがわかる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度中に目標にしていた不斉アリル位置換反応の開発及び、タンデム反応の開発を達成することができただけではなく、それらの内容をAngewante chemieに搭載することができたことから、本来の目標以上に達成できていると思われる。
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Research Products
(6 results)