2013 Fiscal Year Annual Research Report
CO2ナノバブルを用いた廃コンクリートの全量リサイクル技術に関する研究
Project/Area Number |
12J01319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 翰湜 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 再生骨材 / 二酸化炭素 / 炭酸化 / 超微細気泡 |
Research Abstract |
コンクリートの炭酸化現象に着目し, 二酸化炭素の有効利用, セメント系廃材の再資源化手法の開発を目指しており, その手法において超微細気泡(ナノバブル)の適用を試みている. 再生細骨材の再資源化・実用化に向けた実験を行った結果, ナノバブルとして炭酸ガスを供給することはペースト脆弱化に寄与することを分かった。更に, 炭酸ガスをナノバブルとして供給すると, 直接バブリングするよりも約35%のペースト剥離性状改善につながる。また, 物理的なアプローチと化学的なアプローチを交互に繰り返し処理を行うことにより, 再生細骨材のセメントペーストからカルシウム成分を溶脱させペースト付着率を12.88%まで低減させることに成功した。この結果はこの処理を繰り返す, もしくは同じ時間の処理でも繰り返し回数を増やすことで更なる改善が見込める。また, 大気環境で劣化を受けなく, 付着ペーストが多量存在する低品質再生骨材において, 付着ペーストの炭酸化改質による再生細骨材の品質改善の実現可能性に関する糸口を捜した. なお, それを用いた改質モルタルの力学特性と耐久特性を検討した結果, 炭酸化改質再生細骨材を用いたモルタルが一般再生細骨材を用いたモルタルに比べ圧縮強度が増加する傾向であることを分かった. これは, 付着ペーストの組織が炭酸化によって緻密化し, それにより強度が向上していると考えられ, 材齢が経過するに従って一般再生モルタルに比べ圧縮強度が持続的に増加することから, 長期材齢においても炭酸化改質による有効細孔空隙の充填効果が力学特性の効率向上に寄与することを分かった. 耐久特性実験結果, 炭酸化改質によって再生骨材の吸水率を低減させることで, 再生モルタルの乾燥収縮変形の低減を可能にすることを実験的に検証した. 以上の結果から, 再生骨材の品質および状態により, 適切の改質処理手法を適用させることにより品質・性能改善および経済性・エネルギー効率が高い資源循環システムを提案する. 近年の廃棄物の再資源化, 二酸化炭素の削減という社会的要請において, その両方の解決が可能な技術を提供することとして, 環境配慮のための持続発展可能な社会に折付くことに首献したいと思う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では炭酸化現象に着目し, 炭酸化改質による組職の緻密化手法および脆弱化手法による再資源化手法の開発を目指していた. しかしながら、セメント系材料は自然環境で劣化し水和物が分解するので, 実際に再生骨材を構造用コンクリートに利用するためには実際の再生骨材を用いた実験が必要になる. このような背景から, 炭酸化改質骨材を用いたモルタルの力学的特性と耐久特性に対して検討した結果, 力学的性能と耐久性が上昇して行く結果を得られた. その結果から, 実際の再生骨材に炭酸化改質手法を適用することによって, 再生骨材の品質を向上することがわかる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では実験室レベルで検討を行っているため, 実用化には実現場レベルでの技術適用のための最適プロセスの構築などの検討が必須不可欠である. そのため, 技術の実用化に際してのナノバブル発生装置の適用による機械的問題や改質性能を極大化できるプロセス的問題などの様々な問題点に対する検討が必要であると言える. また、再生骨材の炭酸化改質手法の複合モデルは初期段階であり, 多くの改良店が残っているが, 今まで論じた物理化学及び熱力学理論に基づくモデルを既存のシステムに組み合わせて複合材料システムに再構築することとして, セメント係廃材の再利用からライフサイクルまで推測する事が可能な[資源循環システム]を構築して行く.
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Research Products
(2 results)